2021.12.9
, EurekAlert より:
いわゆる「アンチエイジング」ダイエットの事実とフィクションを区別し、これら食事療法が潜在的に共有しているメカニズムを明らかにしよう、という米国ワシントン大学などからのレビュー記事。
ほぼ一世紀にわたり、カロリー制限などの食事介入が、寿命を延長し加齢関連疾患を遅延させることが、少なくとも動物実験では示されてきたが、それらを介在するメカニズムは未だ不明確なままである。
最近では、ケトジェニックダイエットや間欠断食のようなこれら食事療法のいくつかが、ポピュラーになっているものの、そのヒトにおける有効性と安全性は、依然として実験室の外では確立されたものとは言い難い。
今回、ミッチェル・リーらは、抗加齢食事介入に関する大部分の文献を要約した。これらは、加齢の特徴的な分子メカニズムを遅延あるいは逆転させるように見えるものである。
これらの介入は、線虫やショウジョウバエといったモデル動物でよく研究されているが、現在のところ同様の食事がヒトの生物学的加齢に影響を及ぼすかどうかはわかっていない、と著者らは言う。
これら食事介入の生理学的影響は複雑であることが現在までの研究から明らかであり、それは最も単純なモデル動物でもそうであるが、同時に多くの抗加齢ダイエットをつなぐ興味深い類似性も明らかになってきたという。
リーらによれば、抗加齢食の共通のメカニズムは、たんぱく質キナーゼmTORの阻害に関連しているようだという。この進化的に保存されてきた信号経路は、ヒトにおいて健康的に寿命を延長することに役立つような薬物の分子標的になり得るという。
「将来の研究は、高度に制御された実験室レベルの条件下における抗加齢食の細胞および分子メディエーターのより良い理解に焦点を当てるべきであり、またこれらの食事に関連した健康アウトカムの遺伝的および環境的変数の影響にも注目すべきであろう」とリーらは述べている。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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