2021.11.15
, EurekAlert より:
母親が妊娠前に過体重だった場合、産まれた子が幼児期にアレルギー性疾患を発症するリスクが高まる可能性が発見された。カナダ・オタワ大学の研究。
オンタリオ州で7年にわたり約25万人の子どもを調査したこの研究は、同種の研究の中でも最大規模のものだ。結果のポイントは以下の通りとなっている。
・妊娠中の母親の体重増加と小児アレルギー性疾患との間に関連性は見られなかった。
・妊娠中に肥満であった母親から生まれた子供は喘息の発症リスクが8%高まった一方で、皮膚炎やアナフィラキシーを発症するリスクはわずかに低くなった。
・乳児の約半分は過体重または肥満の母親から生まれ、3分の1は妊娠中に過体重になった母親から生まれていた。
・母親は妊娠期に入り過体重/肥満となり、多くの子供が幼児期にアレルギー性疾患を発症している。
・カナダでは、人口の約30%が少なくとも1つのアレルギー性疾患を持っており、未成年者では有病率がさらに高くなっている。
・世界的にみると、アレルギー性疾患の傾向は「流行」といえる罹患割合に達しており、慢性疾患の中で最も一般的かつ最も早く発症する類いのものとなっている。
母親の体重による子どものアレルギー発症リスクの増加割合は大きいものではないが、国民全体で見た場合には多くの人数の子どもに影響を与える可能性があることから、研究グループは、妊娠前の女性に適正体重を維持してもらうことが、子どものアレルギー発症数を抑えるための費用対効果の高い方法になるのでは、としている。
出典は『小児周産期疫学』。 (論文要旨)
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