2021.11.9
, EurekAlert より:
子供を母乳で育てた女性は、そうでない女性に比べて、50歳以降の認知検査でのパフォーマンスが優れているようだ、という米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校からの研究報告。
母乳哺育が閉経後の女性の認知能力にプラスの影響を及ぼし、母親の脳に長期的な利益をもたらす可能性があることを示唆しているという。
研究チームは、2つの横断的ランダム化対照試験に参加した女性から収集したデータを分析した。2つの試験から、115人の女性が参加することを選択した。64人がうつ病、51人が非うつ病であった。
すべての参加者は、学習、遅延想起、実行機能、および処理速度を測定する一連の包括的な心理テストを完了した。また、月経開始年齢、完全および不完全な妊娠の数、各子供のために母乳で育てた時間の長さ、および閉経の年齢に関する質問を含む、生殖の生活史に関する質問票に回答した。うつ病の参加者と非うつ病の参加者の間で、年齢、人種、教育、またはその他の認知的尺度に有意差はなかった。
解析の結果、母乳で育てた女性は、うつ病であるかどうかに関係なく、母乳で育てなかった女性と比較して、学習、遅延想起、実行機能、および処理速度を測定する4つの認知テストすべてで優れたパフォーマンスを示したという。
うつ病グループと非うつ病グループのデータを別々に分析したところ、4つの認知領域スコアすべてが、うつ病ではない女性の母乳育児と有意に関連していることが明らかになった。けれども、うつ病の女性では、実行機能と処理速度の2つの認知領域のみが母乳育児と有意に関連していた。
研究チームは、母乳育児に費やす時間が長いほど、認知能力が向上することを発見した。女性が母乳育児をした全期間を合計すると、母乳育児をしなかった女性は、1-12か月間母乳で育てた女性と比較して、4つのドメインのうち3つで認知スコアが有意に低く、12ヶ月以上母乳で育てた女性と比較して4つのドメイン全てで有意に低いことがわかった。最も長く母乳で育てた女性の認知テストのスコアが最も高かった。
「母乳育児は、ストレスを調整し、乳児の絆を促進し、産後うつ病のリスクを低下させるのにも役立つことがわかっている。これは、母親にとって急性の神経認知的利益を示唆しているため、長期的な優れた認知能力にも関連している可能性があると考えた」と筆頭研究者のモリー・フォックス博士はコメントしている。
出典は『進化、医療、公衆衛生』。 (論文要旨)
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