2021.11.5
, EurekAlert より:
腸壁の細胞同士のすき間が広がって腸の透過性が増大し、有毒な物質が体内に漏れ出すことで疾病を引き起こしてしまう「リーキーガット症候群」が、ポリフェノールを豊富に含む食生活によって改善できたという。スペイン・バルセロナ大学が高齢者を対象に行った研究。
腸の透過性の増大の原因には、加齢・食物アレルギー・不耐性・不健康な食事などがある。このような腸の変化よって、腸の完璧なバリア機能の低下が起こり、血液中に潜在的に有毒な物質が通過する引き金となり、糖尿病、心血管疾患、さらにはアルツハイマー病などの慢性疾患の発症に関連している。
本研究では60歳以上の人を対象に、ポリフェノールを豊富に含む食事、具体的には、リンゴ、ココア、ダークチョコレート、緑茶、クランベリー、オレンジ、またはザクロジュースを1日3回まで、8週間摂取してもらった。結果、腸内細菌叢に特定の変化を与えると腸透過性が改善されることが示されたという。
研究グループのペロン氏らは「ポリフェノールが豊富な食事によって引き起こされる変化を分析することにより、代謝における食事の要素、微生物叢、腸透過性の間の既存の関係、そして腸のバリアの改善に結び付くかを研究しました」としている。
今回、血漿および糞便サンプルの分析により、ポリフェノール摂取に関連する血清メタボロームの増加が示された。「たとえば、ココアや緑茶に含まれる、テオブロミンとメチルキサンチンは、酪酸(腸内細菌の生成する脂肪酸)産生菌と正の相関があり、腸透過性に関連するたんぱく質であるゾヌリンとは逆の相関があります」。
ラクエバ教授は、「腸透過性、微生物叢の組成、および食物代謝の関係の研究は、すべてのライフステージ、特に高齢者向けにカスタマイズされた食事を確立するための基礎でなければなりません。この論文で説明されているように果物、野菜、食品の摂取量が多いと、老化による透過性の損傷を相殺するのに役立つ、繊維とポリフェノールが得られます」と述べている。
出典は『臨床栄養学』。 (論文要旨)
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