2021.11.5
, EurekAlert より:
現時点で禁酒している者の死亡リスクの増加は、以前の飲酒や薬物、毎日の喫煙、全体的な健康状態の悪化など、他の因子によって主に説明される可能性がある、という独グライフスヴァルト大学からの研究報告。
先行研究では、アルコールを摂取しない者は、低から中程度の量のアルコールを摂取する者よりも死亡率が高いことが示唆されている。
今回研究チームは、18-64歳の1996年から1997年の間に実施された標準化インタビューに参加したドイツ人成人4,028人のランダムサンプルのデータを使用した。インタビュー前の12か月間の飲酒に関するベースラインデータ、および健康、アルコール、薬物使用に関するその他の情報が利用可能だった。死亡データは、20年後の追跡調査から得た。
参加者のうち、447人(11.10%)は、ベースラインインタビューの前の12か月間アルコールを飲んでいなかった。
これら禁酒者のうち、405人(90.60%)は元アルコール摂取者であり、322人(72.04%)は、以前にアルコール使用障害または危険なアルコール摂取者だった(35.40%)、毎日の喫煙(50.00%)、または自己評価の健康状態があまり良くない(10.51%)など、その他の1つ以上の死亡率を高めるリスク因子を持っていた。年齢、性別、喫煙を調整後、低から中程度のアルコール摂取者と比較して、1つ以上のリスク因子保有者のハザード比は2.44だった。
リスク因子のない125人の禁酒者は、低から中程度の飲酒者と比較して、全死因、心血管またはがんの死亡率に統計的な有意差がなかった。
年齢、性別、喫煙を調整後、低から中程度のアルコール摂取者と比較して、生涯にわたってずっと禁酒を続けていた人(42人)のハザード比は1.64だった。
「この結果は、現在アルコールを控えている人々は、必ずしもアルコール摂取量が低から中程度の集団よりも生存期間が短いとは限らないという見解を支持している」と著者らは述べている。「調査結果は、健康上の理由で飲酒を推奨することに反対するものだ。」
「禁酒者が、低から中程度の飲酒者よりも早期に死亡するようだという知見に基づいて、低から中程度の飲酒にはポジティブな健康効果があると長い間、推測されてきた。我々は、禁酒者の多くが、早死のリスク因子である、飲酒や薬物の問題、危険な飲酒、日々の喫煙あるいはあまり良くない健康状態を持っていたことを発見した」と筆頭著者のウルリッヒ・ジョン博士はコメントしている。
出典は『プロス医学』。 (論文要旨)
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