2021.11.4
, EurekAlert より:
先史時代の古糞便の分析から、ブルーチーズとビールの生産に使用される2つの真菌種がすでに存在したという証拠を発見した、という伊EURAC研究木乃伊研究所などからの研究報告。
研究チームは、オーストリアのユネスコ世界遺産地域ハルシュタット-ダッハシュタイン/ザルツカンマーグートの先史時代の塩採掘場から採取した古代の糞便検体(古糞便)に存在する微生物、DNA、たんぱく質を調査するために顕微鏡、目ゲノムおよびプロテオミクス分析を実施した。
この包括的な研究により、研究チームは、かつてそこに住んでいた人々の食事を再構築することができたという。チームはまた、古代人の腸に生息していた微生物についての情報を得ることができたという。腸内微生物人間の健康に重要な役割を果たしていることが認識されている。
食事調査から、さまざまな穀物のふすまと籾殻が最も一般的な植物の断片の1つであることが確認された。この非常に繊維質で炭水化物が豊富な食事にソラマメのたんぱく質が追加され、時には果物、ナッツ、または動物性食品が追加されたという。
今回研究チームが微生物解析に真菌類を含めたことで、最大の驚きだったことは、ブルーチーズの製造に使われるPenicillium roquefortiとビールの製造に使われるSaccharomyces cerevisiaeが豊富に存在したことであるという。
「ゲノムワイド分析は、両方の真菌が食品発酵に関与し、鉄器時代の欧州でのブルーチーズとビールの消費に関する最初の分子的証拠を提供することを示している」と筆頭研究者のフランク・メイクスナー博士は語っている。
「これらの結果は、ハルシュタットの先史時代の塩採掘者の生活に実質的な新しい光を当て、まったく新しいレベルでの古代の料理慣行の一般的な理解を可能にする」と区王道研究者でウィーン自然史博物館のクリスチン・コワリク博士は語っている。「先史時代の料理の実践が洗練されていただけでなく、複雑な加工食品や発酵技術が私たちの初期の食の歴史において重要な役割を果たしてきたことがますます明らかになっている。」
「ハルシュタットの鉱山労働者は、今日でも食品業界で使用されている微生物を使って意図的に食品発酵技術を適用したようだ」とメイクスナー博士はコメントしている。
(写真はハルシュタットではありません)
出典は『最新生物学』。 (論文要旨)
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