2021.11.1
, EurekAlert より:
グリコーゲンは細胞のエネルギー貯蔵庫だが、褐色脂肪細胞では、熱産生の引き金の役割も果たしているようだ、という米国カリフォルニア大学サンディエゴ校からの研究報告。
筋肉や肝臓と異なり、脂肪細胞におけるグリコーゲンの役割は謎だったが、今回、研究チームは、グリコーゲンが脂肪細胞の単なるエネルギー貯蔵庫以上の働きを持つことを発見した。それは、エネルギーの処理法の主要な切り替えを行う信号を供給するものだった。
脂肪細胞の褐色化は、細胞がグリコーゲンを作り、そして分解するその能力に依存している、と研究チームは報告している。グリコーゲンの代謝回転は、細胞に、ATP生産を脱共役しても安全だという信号を送っているのである。
「脱共役は、熱を産生する方法であり、エネルギーバランスを保つ助けになる。この経路はしたがって、十分なエネルギー貯蔵がある脂肪細胞にだけ、熱産生するように伝える役割を担っている」と研究者は述べている。
グリコーゲンが脂肪代謝を調節および促進する。そのレベルが高いほど、脂肪がより早く燃焼し、肥満マウスの体重が減少する。ヒトでは、これらの複雑なプロセスに関与する遺伝子は、肥満または体重増加の傾向がある患者で低いことがわかった。これは、脂肪細胞で過剰な体重を燃焼させるためにグリコーゲン経路が必要であることを示唆している。
研究チームは、脂肪細胞のグリコーゲン代謝を調節することで、体重減少と代謝の健康の全体的な改善のための新しいアプローチが提供される可能性があることを示唆している。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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