2021.10.29
, EurekAlert より:
AIを用いて全身MRIスキャンだけで糖尿病が検出可能であることが示唆された、というスイス・チューリッヒ工科大学からの研究報告。
「太り過ぎで体脂肪が多いと、糖尿病のリスクが高まる。けれども、すべての太り過ぎの人がこの病気を発症するわけではない。決定的な要因は、脂肪が体内のどこに貯蔵されているかである。脂肪が皮膚の下に蓄えられている場合、腹部のより深い領域の脂肪(内臓脂肪)よりも害が少ない。脂肪が体全体にどのように分布しているかは、全身の磁気共鳴画像法(MRI)で簡単に視覚化できる。そこで我々は、2型糖尿病をMRIによる体脂肪分布の特定のパターンに基づいて診断できるかどうかを調査した」と主任研究者のロバート・ワグナー教授は説明している。
そのようなパターンを検出するために、研究チームは人工知能(AI)を使用した。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によるスクリーニングを受けた2,000人の全身MRIスキャンを使用してディープラーニング(機械学習)ネットワークをトレーニングした。OGTTによって糖代謝障害をスクリーニングし糖尿病を診断することができる。つまり、AIは糖尿病を検出することを学んだということである。
「モデル結果の分析は、下腹部の脂肪蓄積が糖尿病の検出に重要な役割を果たすことを示した」とワグナー教授は述べている。さらに追加の分析では、前糖尿病の人の割合、および腎臓病につながる可能性のある糖尿病サブタイプの人もMRIスキャンで特定できることが示唆された。
研究チームは現在、体脂肪分布の生物学的調節を解読するために取り組んでいるという。1つの目標は、より良い予防および治療の選択肢を見つけるために、AIの使用などの新しい方法を通じて糖尿病の原因を特定することである。
出典は『JCIインサイト』。 (論文要旨)
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