2021.10.28
, EurekAlert より: 
良い睡眠をとることは難しいかもしれないが、週末の数時間でも睡眠不足を補うことができれば、少なくとも歩き方において、疲労によるぎこちなさを軽減するのに役立つ可能性がある、というブラジル・サンパウロ大学などによる研究報告。
睡眠が、数学の問題を解いたり、会話をしたり、この記事を読んだりするなどの認知タスクに影響を及ぼすという証拠はたくさんある。だが、睡眠が、我々の歩き方や精神的負担が少ないと思われる他の活動の実行に影響を与えるかどうかはよくわかっていない。
研究チームはサンパウロ大学の学生に、睡眠不足が歩行制御に及ぼす影響に焦点を当てた実験に参加するよう依頼した。
学生たちはそれぞれ、14日間の活動を追跡するための時計を与えられた。この情報により、研究チームは、学生が毎日いつ、どのくらいの時間眠り、活動していたかを知ることができた。研究チームが彼らの自然な睡眠パターンを記録することができるように、学生はどれだけ眠るかについての指示を与えられなかった。平均して、各学生は1日あたり約6時間眠ったが、一部の学生はそれを補うために14日間の2つの週末に多く眠った。
14日目の前夜、一部の学生は睡眠ラボで一晩中起きていた。このグループは、急性睡眠不足群(SAD)と呼ばれた。14日目の朝、すべての学生が歩行テストを行うために研究室に行った。
研究チームのメトロノームに合わせて、各学生は同じ速度で設定されたトレッドミルの上を歩いた。研究チームは、メトロノームの速度をゆっくりと微妙に上げ下げし、学生はビートに合わせて歩き続けるように求められた。カメラは、メトロノームのビートと比較して、学生の歩行、具体的には、かかとがトレッドミルに当たった瞬間を撮影した。
「彼らはかかとのキックをビートに同期させる必要があり、急性の睡眠不足の人の方がエラーが大きいことがわかった」と主任研究者のアルチュロ・フォルネル=コルデロ博士は述べている。「彼らはリズムから外れ、ビープ音を聞き逃し、そして一般的に、より悪いパフォーマンスだった。」
これ自体はまったく驚くべきことではないかもしれない。けれども、テストの前に徹夜しなかった学生たちを比較したところ、研究チームは予想外の違いを発見した。週末に睡眠不足の代償としてより多く眠る学生は、テストが週末に実施されても、より良い成績を残した。
「これはパラドキシカルだ」とフォルネル=コルデロ博士は言う。「大部分の人が疲れのピークに達しているのに、この代償睡眠グループの成績は良かった。我々はそんなことは予期していなかった。」
「こうした結果は、歩行が自動プロセスではなく、睡眠不足の影響を受ける可能性があることを示している」と共同研究者でMIT主任科学者のヘルマノ・クレブス博士はコメントしている。「理想的には誰もが一晩8時間眠るべきだが、それができない場合は、可能な限り定期的に代償睡眠をする必要があるだろう。」
出典は『サイエンティフィックレポート』。 (論文要旨)
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