2021.10.26
, EurekAlert より:
牛乳やヨーグルト・チーズなど、カルシウムやたんぱく質を豊富に含む食品の摂取量を増やすことで、介護施設で暮らす高齢者の転倒や骨折リスクが低下したという。豪・メルボルン大学などの研究。
介護が必要な高齢者はカルシウムとたんぱく質の摂取不足の傾向があり、骨が弱くなって転倒・骨折リスクが上昇するおそれがある。股関節骨折の3割は、高齢者施設の入所者で発生しているとの推計もある。
乳製品などカルシウムとたんぱく質が豊富な食品が骨の脆弱化の予防に役立つことはよく知られているが、実際に乳製品の摂取量増加が高齢者の骨折リスク低下のための効果的かつ安全な方法であるのか、についての研究例はほとんどない。
そこで今回、研究グループは豪州の高齢者介護施設・60施設の入所者約7,200人(女性72%、平均年齢86歳)を対象にして2群に分け、2年間にわたる試験を行った。 ●介入群(30施設):乳製品をメニューに追加し、1日あたりの食事中のカルシウムを1,142mg、たんぱく質は1.1g/体重(kg)とした。 ●対照群(30施設):通常メニュー(1日あたりのカルシウム700mg、たんぱく質0.9g/ 体重(kg))を提供。
介入施設27、対象施設29のデータを集計した結果、合計324件の骨折(うち股関節骨折135件)、4,302件の転倒、および1,974件の死亡が研究期間中に発生していた。介入群では、全骨折が33%、股関節骨折が46%、転倒で11%のリスク低下がみとめられた。なお、全原因による死亡率にグループ間の差はみられなかった。
今回みられた骨折の相対リスク低下の程度は、骨粗鬆症の人に対し薬物療法を行った試験の結果と同レベルだったという。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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