2021.10.25
, EurekAlert より:
フィットネストラッカー(身体活動量計)の人気が高まるにつれ、そのようなデバイスを使用してフィットネスの目標を追跡するだけでなく、それらの目標を達成するためのモチベーションを高める機会も増えている。ペンシルベニア州立大学の研究チームは、制御システムエンジニアリングツールを使用して、個々のデバイスユーザーに送信される動機付けのメッセージを調整するために協力した。
「これらのデバイスからリアルタイムにフィードバックを取得して目標を監視できる。また、目標や行動に応じて、人々にメッセージをプッシュすることもできる。これらのメッセージは、平均して行動を改善するのにうまく機能することを我々は知っている。しかし、平均的な人はどこにもいない。限られた数のメッセージから各個人が常に最大の利益を得られるようにする方法がわからない」と主任研究者のデヴィッド・コンロイ教授は述べている。
コンロイ教授によれば、これまでいくつかの戦略がここ見られており、その中には、特定の集団に向けた特殊なメッセージや、最近の行動に基づくメッセージ(例えば、前日に目標を達成した場合としなかった場合で2種類の異なるメッセージを送る)、あるいは名前を読んだり好きなものに言及したりするものもあったが、常に一定の効果を得られたものは見つからなかった。
コンロイ教授らによる新しいアプローチでは、制御システム工学で定期的に使用されるツールを行動科学に適用した。
「基本的に、制御工学の人々が通常、微分方程式として動作をモデル化するために使用するのと同じ数学的ツールを使用している」と共主任研究者のコンスタンチノ・ラゴア教授は述べている。「我々はこれらのモデルを使用して、人の現在の状態を考慮に入れ、モデルと一緒にメッセージを送信するのに最適な時間を決定するフィードバックコントローラーを設計している。」
コンロイ教授は、正しい投薬量を確立すること、つまりメッセージの種類とそのタイミング、頻度、およびコンテキスト(文脈)を確立することが、このアプローチの重要な部分であることを強調した。
「我々は投与量を理解することを本当に優先しており、適切なメッセージを適切なタイミングで適切なコンテキストでのみ送信する。すると人々は探している利益を得ることができる」とコンロイ教授は言う。「我々は、彼らが探している見返りを得ることなく混乱させたくはない。」
研究チームは、この個別のアプローチを精密行動医学と呼んでいる。
今回研究チームは、45名の運動量が十分ではない若者を対象に試験を行った。フィットネストラッカーは、歩数と心拍数を記録すると共に、0-6個のメッセージを参加者に届けた。参加者の位置情報も取得して、天候、時間、場所によってメッセージの種類を変化させた。
メッセージがゼロの場合は全員に効果がみられなかったが、それ以外では、異なる文脈によって参加者の反応は異なっていたという。メッセージを受け取った時の外気温、時間などによって異なる効果がみられた。
「我々の次のプロジェクトは有効性を確立することだ。メッセージをランダムに送信したり、メッセージをまったく送信しないことよりも、それはうまく機能するだろうか? ひとたび有効性を確立すれば、この種のアプローチはデバイスメーカーにとって非常に魅力的なものだろう」とコンロイ教授は期待している。
出典は『健康心理学』。 (論文要旨)
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