2021.10.18
, EurekAlert より:
ケトンサプリメントが肥満の人々の脳の健康を保護および改善するための新しい治療戦略である可能性がある、というカナダ・ブリティッシュコロンビア大学からの研究報告。
肥満の人は、認知障害や神経変性疾患を発症するリスクが高いことが知られている。本研究では、ケトンサプリメントを1日3回14日間摂取すると、肥満成人の脳への血流が促進され、作業記憶や処理速度などの認知機能の側面が改善されることがわかったという。
ケトン体βヒドロキシ酪酸を含むサプリメントは比較的新しいもので、主に(スポーツおよび軍事環境での)身体的パフォーマンスについて研究されている。
ケトンサプリメントは、軽度認知障害(MCI)と認知症の高齢者に有益であることが以前に示唆されていたが、本研究で、研究チームは、ケトンサプリメントが、神経認知障害を発症するリスクのある肥満の人々の脳の健康を保護および改善するための新しい治療戦略である可能性があることを実証することにより、これらの発見を拡張したという。
肥満の成人参加者14名(10名が女性、平均年齢56歳)は、ケトンサプリメントまたは味を合わせたプラセボサプリメントのいずれかを1日3回、各食事(朝食、昼食、夕食)の15分前に自発的に摂取した。本研究は、いわゆるランダム化プラセボ対照クロスオーバー研究であり、すなわち、参加者は最初の14日間はサプリメントまたはプラセボを服用するようにランダムに割り当てられ、その後、次の14日間は他の条件に切り替えられた。
研究チームは、14日間の介入期間の両方で参加者にすべての食事と軽食を提供した。
iPadのアプリケーションを介して検証済みのテストを使用して認知機能を測定し、頭蓋外(首)動脈でデュプレックス超音波を使用して脳の血流を測定した。また、採血して、脳のニューロンの成長を助け、認知機能を改善するホルモンを測定した。
「より多くの人々で検証されれば、これらのサプリメントが肥満の人々の脳の健康を保護し改善するために使用できると期待している」と筆頭著者のジェレミー・ウォルシュ博士はコメントしている。
出典は『生理学雑誌』。 (論文要旨)
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