2021.9.14
, EurekAlert より:
ロイシン2分子が結合したジロイシンは、ロイシンよりも筋肉の成長を促進する代謝プロセスを高めるようだ、という米国イリノイ大学からの研究報告。
研究チームは、10名の健康な若い男性を対象としたランダム化比較試験で、単一アミノ酸のロイシンまたはその2分子同等物であるジロイシンの摂取が、筋肉の構築と破壊にどのように影響するかを比較した。
その結果、チームは、ジロイシンが、ロイシンよりも42%多く筋肉の成長を促進する代謝プロセスを促進することを発見したという。
分枝鎖アミノ酸のロイシン、イソロイシン、バリンは、ボディビルダーや健康愛好家の間ではおなじみのサプリメントだが、ロイシンには細胞内の筋肉増強経路を誘発するシグナル伝達分子としての働きもある、と研究チームは述べている。
消化によってたんぱく質は分解され、遊離アミノ酸やジペプチドを含むより短い分子の混合物になる。先行研究において、小腸では遊離アミノ酸よりもジロイシンのようなジペプチドをより速く吸収することが示唆されている、と主任研究者のニコラス・バード教授は言う。
「けれども、食事中のジロイシンがジペプチドとして血中に入るのか、それとも2つのロイシン分子に分解されるのかを調べた研究はほとんどなく、急性の筋肉の構築と分解に対するその影響を調べた研究もなかった」とバード教授は述べている。
今回の研究では、参加者は12時間の絶食後に研究室に来て、研究チームが筋肉たんぱく質合成と分解のプロセスを追跡できるようにする安定同位体の化学プローブを注入された。そして、筋肉組織の生検を上肢から採取された。
「その後、2gのロイシンまたは2gのジロイシンを彼らに投与した」とバード教授は説明する。「そして、我々は彼らの筋肉リモデリング反応を3時間追跡した。これは二重盲検試験であり、参加者と研究者が、試験の初期段階で誰がロイシンまたはジロイシンを投与されたかを知ることができないようにデータがコード化されていた。参加者がロイシンまたはジロイシンを摂取してから30、60、180分後に、さらに3回の筋生検が行われた。」
その結果、「参加者がジロイシンを摂取した場合、ロイシンを摂取した場合よりも、ロイシンがより早く血中に入ることがわかった」とバード教授は述べている。「それは、ジロイシンの一部が血流に入る前に加水分解または切断されていることを意味する。しかし、ジロイシンが無傷で血流に入っていることもわかった。」
次の疑問は、ジロイシンが筋肉構築プロセスに何らかの影響を及ぼしたかどうかだった、とバード教授は述べている。
「そこで、リモデリングプロセスの一部としてのたんぱく質分解を含む、筋肉構築プロセスを示す経路を調べたが、ロイシンとジロイシンの間でたんぱく質分解に違いは見られなかった」とバード教授。「けれども、たんぱく質合成の面では、ロイシンよりもジロイシンが筋肉構築プロセスを改善することがわかった。」
ジロイシンを摂取した人は、ロイシンを摂取した人よりも42%多くの新しい筋肉たんぱく質の合成がみられたという。
研究チームはまた、動物ベースのたんぱく質が食事中のジロイシンの最良の供給源であることを示した。けれども、バード教授は、人々が筋肉の代謝を高めるために大量の動物性たんぱく質を摂取したり、ジロイシンのサプリメントを摂取したりするべきだとは考えていないという。
「本研究は、身体がジペプチドをどのように使用しているかを理解するための最初のステップにすぎない。単一の栄養素に焦点を当てても、全体的な食事と食事パターンが筋肉の成長にどのように影響するかについての見通しは得られない」とバード教授は述べている。
「我々は、ジロイシンが機能するメカニズムをまだ知らない。本研究は、これらのタイプのペプチドが人類生物学でどのように役割を果たしているかを理解するための最初の試みにすぎない。」
出典は『応用生理学雑誌』。 (論文要旨)
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