2021.9.10
, EurekAlert より:
2年間毎日1/2カップのクルミを食べることで、LDL-コレステロールの血中レベルが低下した、という米国ロマリンダ大学などからの研究報告。
クルミ はオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)の豊富な供給源であり、心臓血管の健康に有益な効果があることがいくつかの研究で報告されている。
研究チームは、クルミが健康な加齢に寄与するかどうかを調べた2年間におよぶ大規模ランダム化比較試験のデータを解析した。研究は2012年5月から2016年5月まで実施され、スペインのバルセロナとカリフォルニアのロマリンダに住む健康で自立した63-79歳の708名(68%が女性)が参加した。
参加者は、ランダムに2群に分けられ、1群(介入群)は毎日の食事に1/2カップのクルミを加え、別の1群(対照群)はクルミの摂取を控えた。2年後、コレステロール値が測定されると共に、リポタンパク質の濃度とサイズが核磁気共鳴分光法で分析された。
主要な調査結果は以下のとおり:
●2年後、クルミ群のLDLコレステロール値は平均4.3mg/dL低下し、総コレステロールは平均8.5 mg/dL低下した。クルミを毎日摂取すると、LDL粒子の総数が4.3%減少し、小さなLDL粒子が6.1%減少した。LDL粒子の濃度と組成のこれらの変化は、心血管疾患のリスクの低下に関連している。 ●中間密度リポたんぱく質(IDL)コレステロールも減少した。IDLコレステロールはLDLの前駆体であり、低密度リポたんぱく質と超低密度リポたんぱく質の密度の間の密度を指すことが知られている。過去10年間で、IDLコレステロールは、LDLコレステロールとは独立した関連する脂質心血管リスク因子として浮上してきた。 ●クルミ群のLDLコレステロールの変化は性別によって異なった。男性では、LDLコレステロールが7.9%減少し、女性では2.6%減少した。
「これはLDLコレステロールの大幅な減少ではないが、研究の開始時にすべての参加者が非常に健康で、主要な非感染性疾患がないことに注意することが重要である。しかし、高齢者集団で予想されたように、参加者の50%近くが高血圧と高コレステロール血症の両方の治療を受けていた。32%のスタチン治療のおかげもあり、我々の研究に参加したすべての人々の平均コレステロール値は正常だった」と主任研究者のエミリオ・ロス医師は述べている。
「血中コレステロール値が高い人の場合には、ナッツを豊富に含む食事の後のLDLコレステロールの低下ははるかに大きい可能性がある。」
「毎日一握りのクルミを食べることは、心臓血管の健康を促進する簡単な方法だ。多くの人々は、食事にナッツを含めたときの、望ましくない体重増加を心配しているが、我々の研究では、クルミの健康的な脂肪が参加者の体重を増加させなかったことがわかった。」
この研究は、カリフォルニアくるみ協会によって資金提供された。
出典は『循環器』。 (論文要旨)
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