2021.9.8
, EurekAlert より:
西暦79年のヴェスヴィウス火山噴火後の遺跡で見つかった17人の成人の骨格から、たんぱく質の構成要素であるアミノ酸を分析する新しいアプローチを開発した、という英国ヨーク大学からの研究報告。
研究者らは、骨のアミノ酸に含まれる炭素と窒素の同位体を測定することで、これまで考えられていたよりもはるかに詳細に同時期に生活していた人々の食事を再構築することができたという。
「我々は、男性と女性の間で消費される海洋食品と陸生食品の比率に有意差があることを発見した。これは、食品へのアクセスが性別によって異なることを意味する」と主任研究者のオリバー・クレイグ教授は語っている。
合計340人が、ポンペイ近くのヘルクラネウムの海岸と、海岸と平行に走る9つの隣接するフォルニシ(石造りの保管室)から発掘された。人々は火砕流からの避難場所を求めてそこに行き着いたようだ。
研究チームは、グループ内の性差をより正確に定量化することができ、男性は女性と比較してシーフードから平均して約50%多くの食事性たんぱく質を摂取していると述べている。
男性はまた、女性と比較して穀物からわずかに高い割合のたんぱく質を摂取しており、女性は動物性食品や地元で栽培された果物や野菜からより多くのたんぱく質を摂取していた。
筆頭著者で博士課程学生のシルビア・ソンシンは、次のように述べている。「我々の研究は、ヘルクラネウムおよびより広範囲のローマ時代のイタリアにおいて男性が魚介類をより多く摂取できたことを示唆している。」
「男性は漁業や海事活動に直接従事する可能性が高く、一般的に社会でより特権的な地位を占め、幼い頃から奴隷制から解放され、鮮魚などの高価な商品へのアクセスが向上したのであろう。」
新しいアプローチを使用して、研究チームは古代の食事をより正確に定量化することができたので、それらを最近の栄養記録と比較することができた。研究チームは、魚介類が、平均的な現代の地中海式食事と比較して、ヘルクラネウムの食事に全体的に大きな貢献をしたことを示唆している。現代人はますます動物性食品の摂取が増えているという。一方、古代と現代で穀物消費の割合は類似していたという。
出典は『サイエンスアドバンス』。 (論文要旨)
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