2021.9.7
, EurekAlert より:
運動は肥満の人々の安静時に消費されるカロリーを減らすようだ、という英国ローハンプトン大学などの研究グループによる報告。国立健康・栄養研究所の山田陽介特別研究員も参加している。
研究によれば、運動する人々は、身体の維持に燃やすカロリーがより少ないので、運動によるカロリーの燃焼の増加が著しく減少することを発見したという。この安静時に燃焼するエネルギーの減少は、肥満者でもっとも顕著であり、またより低い程度で高齢者でも顕著であったという。
IAEA二重標識水(DLW)データベースに登録された1,750名の成人のデータの分析から、BMIが最も高い個人では、運動中に消費されたカロリーの51%が1日の終わりに消費されたカロリーに変換されることが示されたという。しかし、BMIが普通の人の場合、運動中に消費されたカロリーの72%が総消費に反映されていた。
研究チームは、エネルギー消費に対する運動の影響と、これらの影響が個人間でどのように異なるかを調査した。
「減量のための運動プログラムに登録すると、ほとんどの人が少し体重を減らす。多くの人が減量するが、実際に体重が増える不運な人もいる」と共同執筆者である中国・深セン先端技術研究所のジョン・スピークマン教授は述べている。
これら個々の応答の違いは、補償メカニズムと呼ばれるもののためであるという。それには、運動が食欲を刺激するために多くの食物を食べることや、安静時の代謝などの他の要素への消費を減らして、運動が事実上より安価になるようにすることが含まれる。
「しかし、なぜ一部の人々がそのような補償メカニズムを示し、他の人々が示さないのかを知りたかった」とローハンプトン大学のルイス・ハルシー教授は述べている。
分析により、2つのことが補償の範囲を支配していることがわかったという。1つは年齢である-年配の人はより多くを補償する。もう1つは肥満である。肥満の人々は、活動が活発になると、安静時の代謝を減らす。その結果、運動に費やすカロリーごとに、安静時消費カロリーの約半分を節約できる。
これは肥満の人にとっては残酷なねじれである。そのような人々にとって、活動を増やすことによって体重を減らすことは、補償がはるかに少なくそもそも減量の必要性が殆どない痩せの人よりもかなり難しい可能性があるからだ。
「世界中の国内ガイドラインでは、体重を減らすために運動やダイエットを通じて1日500-600kcalを減らすことを推奨する傾向がある。けれども、運動で消費したカロリーを身体が補償するために最も基本的な身体機能で消費されるカロリーが低下することは考慮されていない。」とハルシー教授は述べている。
スピークマン教授は次のように附言している。「DLWデータベースのデータを使用したこの分析は、エネルギー使用の<予算の立て方>が個人によってまったく同じではないことを示している。肥満の人は、脂肪貯蔵庫を保持するのに特に効率的であり、減量が困難になる可能性がある。」
出典は『最新生物学』。 (論文要旨)
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