2021.9.3
, EurekAlert より:
コップ一杯のビールでも、心房細動のリスクを即座にかつ実質的に高める可能性があることが示唆された、という米国カリフォルニア大学からの研究報告。この研究の強みは、飲酒量がリアルタイムに客観的な方法で測定され、自己申告の想起バイアスやエラーを排除し、即時的評価を可能にしたことにあるという。
心房細動は最も一般的な心不整脈である。アルコールの長期使用は心房細動の発症と関連しており、アルコールの回避は心房細動の減少と関連している。けれども、飲酒と心房細動の具体的かつ短期的な関係は、飲酒の頻度が高いため、判断が困難であった。
研究チームは、月に平均1杯の飲酒をする、断続的な心房細動のある成人100人を調査し、アルコールを飲むと短期間の心房細動イベントのリスクが高まるかどうかを検討した。
参加者は、心房細動の各エピソードの時間と長さを記録する心電図モニターと、アルコール消費量を受動的に記録する足首モニターを装着した。4週間後、研究チームは心房細動のエピソード数と、エピソードの前にアルコールを使用したかどうかを比較した。
56人の参加者に少なくとも1回の心房細動のエピソードがあった。解析の結果、エピソードの4時間以内に、アルコール1ドリンクを摂取していた者は、心房細動のリスクが2倍であり、アルコール2ドリンク以上摂取していた者は、リスクが3倍以上に高まったという。血中ピークアルコール濃度が高まるとリスクも高まった。
研究チームによれば、アルコールが世界で最も一般的に消費されている薬物であることを考えると、これらの発見は幅広い重要性をもつ。これらのデータは、心房細動イベントが発生する可能性は、偶然によるものではなく、患者が制御できる変更可能な要因の影響を受けることを示唆しているという。
出典は『内科学年報』。 (論文要旨)
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