2021.9.2
, EurekAlert より:
文法は、先史時代の集団構成を最もよく反映しているので、他のどの文化的特徴よりも遺伝学を反映しているようだ、というスイス・チューリッヒ大学などからの研究報告。
人類の発祥以来、人々は別れまた合流し、言語と文化的伝統に深い痕跡を残してきた。この複雑な歴史を再構築することは依然として大きな課題である。現在世界中で7千以上の言語が話されている。
この大きな広がりは、遺伝的変異にも見られる。チャールズ・ダーウィンによれば、遺伝子と文化は同じように進化し、世代から世代へと伝わり、各ステップでわずかな違いが存在する。
チューリッヒ大学率いる国際チームは、新しいデジタル手法を使用して遺伝学、言語学、音楽学のデータを組み合わせることにより、遺伝学と文化の多様性の間の最良の相関関係を明らかにするデータを特定したという。チームは、この調査で特に興味深い地域として北東アジアを選択した。
「北東アジアは、アジアとネイティブアメリカンの先史時代の中心的な交差点である。実際、その人口は遺伝的に隣接しているが、この地域は文化的および言語的に非常に多様だ」と筆頭研究者で現在は東海大学助教の松前ひろみ博士は語っている。
研究チームは、ツングース語、チュクチカムチャツカ語、エスキモーアレウト語、ユカギル語、アイヌ語、韓国語、日本語など、11の言語族にまたがるデータを分析した。彼らはさらに、ニヴフ語の話者から新しい遺伝子データを入手した。
研究チームは、これらの集団のゲノムを、言語(文法規則、音、単語リスト)および音楽(構造、スタイル)に関するデジタルデータと比較した。「我々の結果は、文法が他のどの文化データよりも人口の歴史をより密接に反映していることを示唆している。遺伝学と文法の間には、有意な相関関係があることがわかった」と、共著者のペーター・ラナヒャー博士は説明している。
「遺伝学と地理学と現代のデジタル言語学と音楽学とのユニークなコラボレーションを通じて、人間の文化史の理解に一歩近づくことができた」と最終著者のバルタザール・ビッケル教授はコメントしている。
出典は『サイエンスアドバンス』。 (論文要旨)
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