2021.8.26
, EurekAlert より:
個人の摂食に影響する可能性のある2ダース以上の遺伝子領域を同定した、というマサチューセッツ総合病院などからの研究報告。
研究チームは、英国バイオバンクと ゲノム疫学における心臓加齢研究コホート(CHARGE) コンソーシアムから、欧州系の祖先をもつ282,271名の遺伝子分析と食事摂取の調査を行った。本研究は、摂食に関連する遺伝因子を検討したこれまでで最大のものであるという。
解析の結果、より多い脂肪、たんぱく質、あるいは炭水化物を含む食品への嗜好を高めることに関連した26の遺伝子領域が同定された。これらの領域は、脳で遺伝子発現する遺伝子に富んでいた。「ダウンストリーム・コンピューテーショナル・アナリシスは、たんぱく質、脂肪、あるいは炭水化物に反応する、中枢神経系全体に分布する特化されたニューロンの特殊なサブタイプを浮き彫りにした。その活性化が、人々が高脂肪、高たんぱく、あるいは高炭水化物の食事や食品を好む理由を説明する可能性がある」と共筆頭著者のジョルディ・メリノ博士は語っている。
研究チームはまた、遺伝的変異の2つの主要なグループが肥満と冠状動脈疾患とに異なって関連していることを発見した。「クラスタ分析とカップリングさせた脂肪、たんぱく質、および炭水化物摂取のジョイントアナリシスが、より均一化されたサブセットの遺伝子変異(特殊な栄養プロファイルによって特徴づけられ、異なる代謝シグネチャーをもつ)を定義する助けになる」と共筆頭著者のクロエ・サルノウスキ博士は語っている。
これらの遺伝的変異の発見は、食事構成が代謝性疾患やその他の疾患に因果関係があるかどうかを判断するために、因果推論的アプローチであるメンデルランダム化などの将来の分析で使用できるということである。
「食事の構成が病気に関連していることはわかっているが、因果関係を証明するのは困難である」と共主任著者のホセ・デュピュイ教授は語っている。「これらの遺伝子座は、2型糖尿病、肥満、およびその他の代謝性疾患に対する食事の因果的影響を決定するための将来のメンデルランダム化分析を可能にするだろう。」
調査結果はまた、摂食行動が個人間で異なる理由のより良い生物学的理解につながる可能性があり、肥満や他の代謝性疾患を予防および治療するための新しい道を提供する可能性がある。「我々の調査結果は、新しい分子標的と薬物の発見に役立つ可能性のある機能研究の出発点を提供する」と共筆頭著者のハッサン・ダシュティ博士は語っている。
出典は『ネイチャー人間行動』。 (論文要旨)
|