2021.8.24
, EurekAlert より:
高脂肪食は、腸上皮とその微生物叢を破壊し、心臓病に寄与する可能性のある代謝物の生成を促進するようだ、という米国ヴァンダービルト大学医療センターからの研究報告。
研究チームは、動物モデルを用いた研究で、高脂肪食が炎症を惹起し、腸上皮細胞を損傷することを発見した。高脂肪食は、ミトコンドリアの機能に障害を及ぼし、上皮細胞はより多くの酸素と硝酸塩を作り出すようになる。
これが大腸菌などの有害なEnterobacteriaceae科細菌の増殖を刺激して、トリメチルアミン(TMA)と呼ばれる細菌代謝物の生産を押し上げる。肝臓はTMAをトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)に変換するが、TMAOは動脈硬化を促進し、全ての死因による死亡リスクを高めることに関連するという。
研究チームはまた、炎症性腸疾患の治療に現在承認されている薬剤5-アミノサリチル酸が腸上皮細胞の機能を回復させ、動物モデルにおけるTMAOの増加を鈍らせることを実証したという。
「宿主(我々)と病気の間にある腸内微生物との関係を完全に理解することによってのみ、肥満による心血管疾患を制御する効果的な治療法を開発できる」と研究者はコメントしている。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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