2021.8.6
, EurekAlert より:
定期的な運動が事実上すべての慢性疾患のリスクを低下させることは広く知られているが、そのメカニズムは完全にはわかっていない。今回コペンハーゲン大学の研究チームは、身体運動の有益な効果が、私たちのDNAのエピジェネティックな変化に部分的に起因している可能性があることを発見した。
DNAは、我々のすべての細胞に見られる分子的取扱説明書であるという。我々のDNAのいくつかのセクションは遺伝子であり、これは体の構成要素であるたんぱく質を構築するための設計図だが、他のセクションはエンハンサーと呼ばれ、どの遺伝子がいつ、どの組織でオンまたはオフに切り替えられるかを制御している。
今回研究チームは、運動が病気を発症するリスクに関連していることが知られている我々のDNAの領域のエンハンサーを再配線することを初めて発見したという。
研究チームは、持久力運動トレーニングが骨格筋の遺伝子エンハンサーの活動を再構築すると仮定した。そして、座位中心の健康な若い男性8名(平均年齢23歳)を、6週間の持久力運動プログラムに参加させた。研究チームは、運動介入の前後に大腿筋の生検を実施し、トレーニング後にDNAのエピジェネティックな特徴に変化が生じたかどうかを調べた。
その結果、研究チームは、持久力トレーニングプログラムを完了した後、若い男性の骨格筋の多くのエンハンサーの構造が変化していることを発見したという。エンハンサーを遺伝子データベースに接続することにより、彼らは、規制されているエンハンサーの多くが、個人間の遺伝的変異のホットスポット、つまり人間の病気に関連しているホットスポットとしてすでに特定されていることを発見した。
研究チームはまた、脳のような筋肉から離れた器官に対する運動の有益な効果は、主に筋肉の因子の分泌を調節することによって媒介されるのではないかと推測している。特に、彼らは、運動が認知能力に関連する骨格筋のエンハンサー活性を再構築することを発見した。これは、脳を標的とする運動トレーニングによって誘発される分泌筋因子の同定に役立つだろうという。
「我々のデータは、運動トレーニング後のエンハンサーの活動を制御するためのエンハンサーのエピジェネティックな再配線と、ヒトの疾患リスクの調節との間の機能的関連の証拠を提供するものだ」と筆頭著者のクリスティン・ウィリアムズ助教授はコメントしている。
出典は『分子代謝』。 (論文要旨)
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