2021.7.20
, EurekAlert より:
米国バック研究所とスタンフォード大学の研究チームは、炎症負荷を測定し、複数の併存疾患、フレイル、免疫的な健康、心血管系の加齢を予測する、そしてまた百寿者における格別な長寿とも関連した、炎症加齢時計(iAge)を開発した。
1001名の血液イミュノームの研究において、AIのひとつである深層学習を使って、研究チームはまた心臓の加齢に関連した、加齢関連の病理を早期に検出でき、介入の標的を供給する、変更可能なケモカインを同定した。
「加齢に伴う慢性疾患のリスクを同定するために使うことができる標準的な免疫指標がまったく欠けている」とスタンフォード大学1001イミュノームプロジェクトのディレクターでバック研究所の准教授であるデビッド・フルマン博士は述べている。「我々の完璧に偏りのないアプローチに生物学を持ち込むことで、加齢関連の全身性慢性炎症や心臓の加齢に関与する小さな免疫たんぱく質を含む、多くの指標を同定できた。今や我々は、機能不全の検出手段と完全に悪くなる前の介入のパスウェイを手にした。」
筆頭著者のナジッシュ・セイド助教授によれば、本研究は、水溶性のケモカインCXCL9をiAgeへの最も強力な寄与因子として同定したという。フルマン博士は、それを小さい免疫たんぱく質で感染部位でリンパ球を引き寄せるために呼び出されるものだと説明している。「だが、今回はCXCL9は炎症に関与する複数の遺伝子を上方制御し、細胞老化、血管加齢、心臓の有害リモデリングに関係することが示された。」CXCL9のサイレンシングは、老化した内皮細胞の失われた機能をヒトとマウスの両方で、復活させたという。
902名の包括的な健康評価のデータを含む初期の結果は、フラミンガム心臓研究における独立した百寿者コホートと全死因による死亡率で検証された。フルマン博士は、健康と長寿に関していえば、免疫系の「年齢」は、運転免許証から導き出せる年齢情報よりも確実だという。「平均して百歳以上の人の免疫年齢は、正常とみなされる年齢より40歳若く、25歳の免疫システムをもつ105歳の男性もいる。」
心臓の健康に関する研究結果は、カリフォルニア州パロアルトから採用された97人の非常に健康な成人(25-90歳)の別のグループでも検証された。フルマン博士によると、研究チームは、CXCL9と脈波伝播速度試験の結果(血管硬化の尺度)との間に相関関係があることを発見したという。「彼らは、利用できる検査すべてで健康とされたが、iAgeを使って我々は左心室肥大と血管機能障害を予測できた。」
「iAgeを使用すると、だれがフレイルになるかを7年前に予測することができる」とフルマン博士は言う。「それは我々に介入の余地をたくさん残してくれる。」
出典は『ネイチャー加齢』。 (論文要旨)
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