2021.7.16
, EurekAlert より:
2020年に新たに診断された74万件以上のがん症例が飲酒に関連しており、男性がその4分の3を占めたようだ、という国際がん研究機関などからの研究報告。
研究チームは、2010年の1人あたりの国ごとのアルコール摂取量のレベルを確立した(アルコール摂取ががんの発生の可能性に影響するのにかかる時間を考慮したという)。それを推定された2020年の新しいがん症例と組み合わせて、各国のアルコール関連がん症例の数を推定した。
その結果、2020年のすべての新しいがん症例の推定4%(741,300例)がアルコール摂取に関連していた。食道がんが189,700例で最も多く、続いて、肝臓がん154,700例、乳がん98,300例、大腸がん、咽喉がんと続いた。
危険飲酒と大量飲酒は、それぞれ39%(291,800例)と47%(346,400例)を占めたが、適度な飲酒も14%(103,100例)を占めると推定された。
東アジアおよび中欧、東欧が、アルコール関連がん症例の割合が6%と最も高く、北アフリカと西アジアがどちらも1%未満で最も低かった。
国別でアルコール関連がん症例の割合が最も高かったのはモンゴルの10%(560例)で、最も低かったのはクウェートで0%(5例未満)と推定された。
アルコールの消費は、体内で有害な化学物質の生成を増加させることでDNA損傷を引き起こし、ホルモンの生成に影響を与えることが示されているという。これは、がんの発症に寄与する可能性がある。アルコールはまた、タバコなどの他の物質の発がん性効果を悪化させる可能性がある。
「我々は、政策立案者と一般市民の間で、アルコール消費とがんリスクとの関連についての認識を早急に高める必要がある。入手し難くすることや、健康警告ラベル、販売禁止などによってアルコール関連がん症例の割合を減らせる可能性がある。消費税の引き上げなど税金と価格設定政策は、欧州でのアルコール摂取量の低下につながったが、他の世界の地域でも実施できる」と筆頭研究者のハリエット・ルンゲイ氏はコメントしている。
出典は『ランセット腫瘍学』。 (論文要旨)
|
|