2021.7.14
, EurekAlert より:
シャワーを浴びながら歌うのが好きな人であれば誰でも、ときにその歌が調子はずれなことを知っているだろう。しかし、プロの歌手はどうだろうか。彼らは自分の能力をどの程度正確に評価し、その自己評価はより良いミュージシャンになるためにどのような役割を持っているだろうか。 この疑問を明らかにするため、ニューヨーク大学フランクフルト校マックス・プランク研究所とハンブルク大学の研究チームは、プロの歌手を対象に科学的研究を行った。
この研究は女性ソプラノ歌手を対象に行われ、参加者は「ハッピーバースデー」をスタジオで歌い、その歌が録音された。次に、すべての録音を聴き、自分と他の参加者それぞれの録音のピッチの精度を評価した。欧米ではピッチの精度は定量的に評価できる音響特性とされており、習熟度の客観的尺度として使用することができる。
研究チームは、参加者による他社の評価から構築した統計モデルを用いて、歌手らが他者や自分のパフォーマンスをどの程度評価できているかを導き出した。
「我々の研究結果は、歌手たちの自己評価が驚くほど不正確であったことを示している。ほとんどの歌手が、自分のパフォーマンスについて過大評価していた。」と、筆頭著者であるマックス・プランク研究所のポーリン・ラルーイ・マエストリ氏は話す。
さらに、研究者らは、歌唱力と自己評価能力との間に、正の相関関係があることを明らかにした。(ピッチの正確さにおいて)優れている歌手ほど、より正確に自己評価が行えていた。特定領域の専門家は自分を過小評価する傾向にあることが知られていることから、この結果は驚くべきものとなった。
この研究結果は、プロの歌手でさえも、自分のパフォーマンスを必ずしも正しく評価できているわけではないということを示しただけでなく、自己評価そのものが卓越した音楽スキルの発達において重要な要因である可能性も示唆している。
出典は『音声雑誌』。 (論文要旨)
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