2021.7.6
, EurekAlert より:
細胞内の高脂肪センサーであるPPARδとPPARαががんリスクを高めるミトコンドリアたんぱく質を同定した、という米国アリゾナ州立大学からの動物実験の報告。
食物が分解されて腸を通り抜けるとき、腸の内面に沿ってある腸幹細胞(ISC)と相互作用する。ISCは、腸陰窩と呼ばれる、腸の規則的に折りたたまれた谷に存在する。
ISCは、高脂肪食に適応したときに腸腫瘍の形成を調整し、がんのリスクを高めるゲートウェイであると考えられている。ISC内には、細胞内の高脂肪食レベルを感知して反応する高脂肪センサー分子がある。
研究チームは、ノックアウトマウスを用いて、このセンサー分子であるPPARのうちPPARδとPPARαががんリスクを高めることを突き止めた。
さらに検討を進めた結果、PPARδとPPARαは、さらに下流でミトコンドリアたんぱく質Cpt1aを標的とすることを突き止めたという。このたんぱく質はミトコンドリアが長鎖脂肪酸を取り込むのに必要である。
研究チームはCpt1aを持たないノックアウトマウスを作成することで、このたんぱく質がなければ腫瘍形成を抑えられることを発見したという。
研究者は、この研究結果が、いつの日かヒトの結腸がんに応用されることを期待している、とコメントしている。
出典は『細胞レポート』。 (論文要旨)
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