2021.7.2
, EurekAlert より:
記憶が形成されるにつれて、ラットの脳の脂肪酸レベル、特に飽和脂肪酸が増加するようだ、という豪州クイーンズランド大学からの研究報告。特に、恐怖や強い感情に関連する新しい記憶の形成に関与する扁桃体で、最高濃度の飽和脂肪酸が観察されたという。
脳の60%は脂肪であり、神経伝達物質を含む微細な嚢であるシナプス小胞が細胞膜と融合して細胞間でメッセージを伝達するのを助けるため、神経細胞間のコミュニケーションには不可欠である。
研究チームは、ラットの脳内で新しい記憶が形成されるときに種々の脂肪酸レベルがどのように変化するかを測定した。
意外にも、脳細胞の飽和脂肪酸レベルの変化が最も顕著であり、特にミリスチン酸の変化が顕著だったという。
脳の健康や記憶にはDHAなどの多価不飽和脂肪酸の重要性が強調されているが、本研究においては飽和脂肪酸の予想外の役割が明らかになったことになる。
ラットの学習と記憶形成を阻害するような薬物を投与すると、脂肪酸レベルは変化しなかった。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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