2021.6.30
, EurekAlert より:
米国人は痩身のためのサプリメントや代替医療に数十億ドルを投じているが、これらの体重減少効果には十分な根拠がないようだ、という米国ノースカロライナ大学からのレビュー報告。
体重を減らそうと考えているアメリカ人のうち約34%が痩身サプリメントを使用しており、緑茶エキス、キトサン、グアガム、共役リノール酸など何百もの痩身サプリメントが出回っている。
今回報告された研究で、研究者らは体重減少サプリメントおよび代替医療の有効性に関する315件の臨床研究について包括的レビューを行った。対象となった研究のほとんどで、サプリメントは利用者に体重減少効果をもたらさなかったという。
「我々の研究結果は、痩身製品の厳密な評価を求める臨床医、研究者、業者にとって重要なものである」とノースカロライナ大学医学部老年医学部およびギリング・グローバル公衆衛生学部の准教授である責任著者のジョン・バトシス氏は話す。「これだけが、臨床医が患者に対して、より高度なレベルにおける情報提供や助言を行えるデータを作成できるからだ。」
サプリメント業者と研究者は互いに協力して痩身サプリメントに関する質の高い臨床研究をデザインするために、評価においても協力的である必要がある、とバトシス氏は付け加える。
著者らは、医薬品食品局(FDA)によって承認された既存の治療法で十分な効果が得られないことや、肥満治療を提供できる専門家にアクセスができないことから、患者の多くが体重の減少や維持に苦心している、と説明する。
米国NIH健康食品事務局は、情報の精査および研究支援によってサプリメントに関する研究を進展させてきたものの、肥満学会は、FDAの承認を受けていない治療法について、科学的根拠を提供するための質的統合が重要であると判断した。
研究者らは系統的レビューおよびメタ分析のための優先的報告項目(PRISMA)声明に準拠した文献レビューを実施、研究データベースであるMedline (PubMed)、Cochrane Library、Web of Science、CINAHL、Embase (Ovid) によって検索を行い、18歳以上を対象としたサプリメントおよび代替医療の減量に対する有効性を評価した。
315件の査読された無作為化比較試験について分析した結果、バイアスのリスクが低く、有効性評価の根拠に値すると判断された研究は52件だった。これらのうち、プラセボ摂取群と比較して、介入前後で有意な体重減少効果が認められたのは16件のみであった。方法論的に異なるこれらの研究で認められた体重減少は、0.3から4.93kgと幅広かった。
著者の一人でもあるウィスコンシン医科大学のシュリヴィディヤ・キダンビ氏率いる肥満学会臨床委員会による視点欄記事において、同学会は臨床医に対して、FDAの承認を受けていないサプリメントや代替医療の科学的根拠の欠如を考慮し、患者に対して有効性が確かめられている体重管理手法を取り入れるよう指導することを勧めている。
「公的機関と民間機関はともに、体重管理のための十分な援助を提供する必要がある。我々は、規制当局に対し、サプリメント業界の誤解を招く効果の訴求や患者に危害をおよぼす可能性がある製品の販売などに対する批判的な調査を要請する」と著者らは述べている。
出典は『肥満学』。 (論文要旨)
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