2021.6.30
, EurekAlert より:
絶食による血圧低下効果の裏には腸内細菌叢の再形成が強く関与している可能性がある、という米国ベイラー医科大学からの研究報告。
研究チームは、自然発症高血圧(SHRSP)ラットと正常ラットを2群に分け、一方は自由摂食とし、もう一方は1日おきに絶食させた。
実験開始から9週間後、自由摂食SHRSPラットは正常ラットよりも血圧が上昇したが、1日おきに絶食させたSHRSPラットは、自由摂食SHRSPラットに比べて血圧が大幅に低かったという。
次に、自由摂食のSHRSPラットから採取した腸内細菌を、各々無菌ラットに植菌したところ、正常ラット(対照)から腸内細菌を植菌された無菌ラットに比べて血圧が上昇した。
けれども、1日おきに絶食させたSHRSPラットから植菌されたラットの血圧は自由摂食のSHRSPラットから植菌されたラットの血圧よりも有意に低かったという。
「絶食によって誘発された腸内細菌叢の変化は、それだけで血圧を下げる効果を媒介することができることが証明された」と研究者は述べている。
研究チームがさらに検討した結果、高血圧を発症した自由摂食のSHRSPラットは、正常血圧のラットに比べて、血液中の胆汁酸が少ないことを発見した。一方で、絶食させたSHRSPラットは、血液中の胆汁酸が多かった。
この発見を裏付けるように、一次胆汁酸であるコール酸をラットに投与すると、高血圧のSHRSPラットの血圧が大幅に低下することがわかったという。
「本研究は、絶食が細菌叢の操作を通じて宿主に影響を与える可能性があることを理解するために重要である」と研究者はコメントしている。
出典は『循環器研究』。 (論文要旨)
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