2021.6.23
, EurekAlert より:
健康的な食事への切り替えは血圧にプラスの効果をもたらすが、絶食はこれを促進する効果を持つかもしれない、という独マックスデルブリュック分子医学センターからの研究報告。
研究チームは、代謝症候群と収縮期血圧の上昇を伴う71人の対象者をランダムに2つのグループに分けた。
両群とも、高血圧と戦うように設計されたDASH(Dietary Approach to Stop Hypertension)ダイエットを3か月間続けた。このダイエット法には、果物、野菜、全粒穀物、ナッツ、豆類、魚、脂身の少ない白肉(鶏肉)が豊富に含まれる。2群のうちの一方は、DASHダイエットを開始する前の5日間、固形食品をまったく摂取しなかった(絶食)。
免疫表現型解析に基づいて、研究チームは、絶食とダイエットによって免疫細胞がどのように変化したかを調べたところ、絶食中には自然免疫系は安定していたが、適応免疫系はシャットダウンしたという。このプロセス中に、炎症誘発性T細胞が減少し制御T細胞が増殖した。
糞便検体を用いて腸内細菌叢に対する絶食の影響を調べたところ、血圧低下に役立つ健康的な細菌が増えるなど劇的に変化したことがわかったという。これらの変化のいくつかは摂食再開後も持続した。
5日間の絶食で健康的な食事を始めた参加者の間では、ボディマス指数、血圧、および降圧薬の必要性は長期的に低いままだった。
研究チームが、人工知能を用いて結果の統計的評価を実施した結果、絶食が実際に寄与していることが確かめられたという。
「高食物繊維、低脂肪の食事法で結果が得られない場合、腸内細菌叢に食物繊維を代謝して保護的脂肪酸に変える腸内細菌が不足している可能性がある。この問題を抱えている人は、努力する価値がないと感じて、以前の習慣に戻ることがしばしばある。絶食は腸内の保護微生物を増やす触媒として機能するようであり、健康状態が極めて迅速に改善し、患者は薬を減らすか、しばしば錠剤の服用を完全にやめることができるようだ」と主任研究者のソフィア・フォルスルンド博士はコメントしている。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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