2021.6.22
, EurekAlert より:
80歳以上の人々においては、より健康的な生活習慣が認知障害のリスク低下と関連しているが、これはAPOE遺伝子の変異には依存していないようだ、という中国・崑山杜克大学からの研究報告。
APOE遺伝子にはいくつかの変異が知られており、APOEε4という変異は、認知障害やアルツハイマー病のリスクを高めることが知られている。
研究チームは、APOEε4遺伝子と生活習慣、および認知機能の関係を明らかにするために、中国で進行中の縦断的健康長寿研究に参加した80歳以上の6,160名のデータを解析した。
解析の結果、健康的な生活習慣またはほどほどに健康的な生活習慣をもつ参加者は、不健康な生活習慣をもつ参加者に比べて、認知障害を起こすリスクが、それぞれ55%および28%低いことが確認されたという。さらに、APOEε4変異をもつ参加者は、他のAPOE遺伝子をもつ酸化よりも、認知障害を持つ可能性が17%高かった。
これまでの研究では、遺伝的リスクが低および中程度の個人では、好ましい生活習慣プロファイルは、好ましくないプロファイルと比較して認知症のリスクが低いことに関連していることが示唆されていたが、これらの保護的関連は、遺伝的リスクの高い人には見られていなかった。
今回の調査では、生活習慣と認知障害との関連性が、遺伝的認知症のリスクを表すAPOEε4の状態に基づいて有意に変化しなかったことが示されたという。これは、遺伝的リスクに関係なく、より健康的な生活習慣を維持することが、80歳以上の人々の認知機能を維持するために重要である可能性があることを示唆するものだという。
本横断的研究は、認知的健康における健康的な生活習慣の重要性を強調している。さまざまな集団間でこれらの調査結果を検証するためのさらなる研究が必要であるが、本研究は、最も高齢の人々の認知機能を高めるための取り組みに役立つ可能性があるだろう、と研究チームは述べている。
出典は『プロス医学』。 (論文要旨)
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