2021.5.26
, EurekAlert より:
低骨密度の女性は難聴のリスクが高いが、骨折リスクを減らすビスフォスフォネートの投与は難聴のリスクに影響しなかった、という米国ブリガムアンドウィメンズ病院からの研究報告。
難聴に関する以前の研究から、難聴の人では骨粗鬆症と低骨密度(LBD)の有病率が高いことが明らかにされている。けれども、これらの疾患が時間と共に聴覚喪失のリスクに影響するかどうかはわかっていない。また、聴覚損失が骨密度が低下した患者の骨折予防に使われるビスフォスフォネートの投与で避けられるかどうかもわかっていない。
研究チームは、聴覚保全研究(CHEARS)の一部として、看護師健康研究と看護師健康研究IIの参加者である144,000人の女性の最長34年間追跡されたデータを分析した。
解析の結果、研究チームは、中等度または重度の難聴のリスクが、骨粗鬆症またはLBDの参加者で最大40%高いことを発見したという。ビスフォスフォネートを服用しても、リスクの上昇は緩和されなかった。
骨粗鬆症とLBDが加齢性難聴に寄与する可能性のある根本的なメカニズムは不明なままだが、研究チームは、異常な骨リモデリングと骨の恒常性の維持に関与する経路の変化が、聴覚に関与する神経と構造を保護する骨の完全性に影響を与える可能性を示唆している。
研究チームでは、カルシウムとビタミンDの摂取が骨粗鬆症の予防に役立つことが示されているため、難聴に関連しているかどうかを将来的に調査する予定であるという。
出典は『米国老人医学会雑誌』。 (論文要旨)
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