2021.5.25
, EurekAlert より:
牛乳の定期的な摂取はコレステロール値の上昇とは関連していないようだ、という英国レディング大学からの研究報告。
研究チームは、英国の3つの大規模なポピュレーションベースの研究を調べ、定期的に大量の牛乳を摂取した人は、BMIレベルが牛乳非摂取者に比べて高めだったものの、HDL-コレステロールとLDL-コレステロールの両方のレベルが低いことを発見したという。他の大規模研究のさらなる分析はまた、定期的に牛乳を摂取した人は、冠動脈疾患のリスクが14%低いことを示したという。
研究チームは、乳糖分解酵素遺伝子の変異に基づく牛乳摂取の遺伝的アプローチを行った。研究では乳糖を分解できる遺伝子をもつ人々を明らかにすることが、牛乳をより多く摂取する人々を特定するための良い方法であることを明らかにした。
「より高い牛乳摂取量に関連した遺伝的変異を持つ参加者はより高いBMI、体脂肪を持っていたが、善玉コレステロールと悪玉コレステロールのレベルは低いことがわかった。冠動脈疾患のリスクも有意に低いことがわかった。これらはすべて、心血管系疾患の予防に牛乳の摂取量を減らす必要がない可能性があることを示唆している」と主任研究者のヴィマル・カラニ教授は語っている。
新しい研究は、乳製品の高い摂取と肥満や糖尿病などの心臓代謝系疾患の因果的リンクを検討した、先行するいくつかの矛盾する研究をフォローして行われた。サンプリングサイズ、民族性、その他の要因の不一致を説明するために、研究チームは最大190万人のデータのメタ分析を実施し、交絡を回避するために遺伝的アプローチを使用した。
英国バイオバンクのデータは、乳糖分解酵素の遺伝的変異を持つ人は2型糖尿病のリスクが11%低いことを示していたが、本研究では、牛乳摂取量の増加と糖尿病またはそれに関連するグルコースや炎症バイオマーカーの可能性の増加との間に関連性があるという強力な証拠は示唆されなかった。
「本研究は、牛乳を飲む人の間でBMIと体脂肪がわずかに上昇したにもかかわらず、牛乳の摂取が心血管系疾患のリスクにとって重要な問題ではないことを確かに示している。本研究で注目すべきは、コレステロール値の低下に寄与しているものが脂肪なのか、または未知の「乳因子」によるどうかは不明なままだということだ」とカラニ教授はコメントしている。
出典は『国際肥満学雑誌』。 (論文要旨)
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