2021.5.18
, EurekAlert より:
ピンク色のドリンクによって気分が高まり、より速く、より遠くまで走ることができるという。運動能力に対する色彩の影響について調べた、英・ウェストミンスター大学のユニークな研究。
この研究は、飲み物の色が運動パフォーマンスに及ぼす影響を評価した初の調査であり、スポーツドリンクと運動の分野における研究の新しい道を開くことになるかもしれない。
本研究の参加者には、運動の度合いが一定に保たれるよう、トレッドミルで自ら選択した速度で30分間走ってもらった。運動中にピンク色または透明、いずれかの人工甘味料入り低カロリードリンクで口をすすいでもらうこととした。
両方のドリンクは色が異なるだけで他は全く同じとした。ピンク色を実験対象に選んだのは、この色が甘さの知覚に関連していることから、砂糖と炭水化物の摂取に対する期待を高めるためだ。
以前の研究では、炭水化物入りのドリンクで口をすすぐことで、運動の強度が低く感じられるようになり、運動パフォーマンスが向上することが示されている。そこで研究者は、炭水化物の刺激のないピンク色のドリンクで口をすすぐことで、潜在的なプラセボ効果を通じて同じような効果があるかどうかを確かめることとした。
結果、ピンク色のドリンクでは平均212メートル長く走ることができたほか、平均速度も4.4%向上していた。喜びの感情も高まり、参加者はより楽しく走ることができたのだという。
このような効果が、炭水化物で口をすすいだ際に起こるとされる脳の報酬領域の活性化と同様のものであるのかを調べるためにはさらなる研究が必要だろう。
ウェストミンスター大学のデブ博士は、「運動能力に対する色彩の影響は、スポーツ選手の用具の効果からテストステロンや筋力への影響力に至るまで、以前から関心を集めていました。同様に、料理法における色彩の役割は広く関心を集めており、視覚的なきっかけや色彩が飲食時の風味知覚にどのように影響するかについての研究が発表されています。
「私たちの研究の結果は、美食の芸術とパフォーマンス栄養を組み合わせたものです。人工的に甘味づけした液体にピンクの着色剤を加えると、甘味をより強く感じるだけでなく、走っている間に喜びの感情、自ら選択する走行速度、および走行距離が向上します」
出典は『栄養学の最前線』。 (論文要旨)
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