2021.5.18
, EurekAlert より:
免疫系が調節不全になると、人工食品着色剤が病気を引き起こす可能性がある、という米国マウントサイナイ医科大学からの研究報告。
マウスを用いた研究で、サイトカインIL-23として知られる免疫系の特定の成分が調節不全になったときに、人工着色料FD&C赤色40号および黄色6号と一緒に食物を摂取すると、マウスが大腸炎を発症することがわかったという。
この食品着色料がヒトに同様の効果をもたらすかどうかは不明だが、研究チームは、サイトカインIL-23が食品着色料への曝露後に大腸炎の発症をどのように促進するかを詳細に調査する予定である。
大腸炎は炎症性腸疾患(IBD)の一種であり、サイトカインIL-23の調節不全がヒトのIBD発症の要因であることが知られている。赤色40号や黄色6号などの食品着色料は、食品、飲料、医薬品に広く使用されている。特にこの2つの食品着色料は、世界で最も一般的に使用されているものだという。
遺伝的素因と環境要因の両方が、IBDの発症に影響するようにみえるが、正確な環境要因については明確になっていない。
研究チームは、本研究のためにサイトカインIL-23の発現が調節不全のマウスモデルを作成した。驚いたことに、免疫応答が調節不全のマウスは、IL-23の調節不全が炎症性腸疾患の要因であるにもかかわらず、炎症性腸疾患を自然に発症しなかった。
食用色素赤色40号または黄色6号を含む食餌を与えられた場合、改変されたモデルマウスは大腸炎を発症した。色素を注入した食餌を与えられても、免疫系が正常なマウスは、IBDを発症しなかった。
「前世紀の汚染物質の劇的な増加と、加工食品と食品添加物の使用の増加は、炎症性疾患と自己免疫疾患の発生率の増加と相関している」と主任研究者のセルジオ・リラ教授は語っている。「環境変化が疾患の発症に寄与していると考えられているが、それがどのように起こるかはよくわかっていない。本研究が、食品着色料のヒトの健康に及ぼす影響を理解するための一歩になることを願っている。」
出典は『細胞代謝作用』。 (論文要旨)
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