2021.5.10
, EurekAlert より:
自分を若いと感じる人は、自分を年寄りと感じる人に比べて、幸福感が高く、認知機能が良好で、炎症が少なく、入院のリスクが低く、長生きする傾向が高い、というドイツ老人病センターからの研究報告。
研究チームは、40歳以上のドイツ居住者を対象とした縦断的調査であるドイツ高齢者調査の5,039人の参加者からの3年間のデータを分析した。この調査には、人々の生活の中で知覚されるストレスの量と、歩く、着替え、入浴などの日常の活動でどれだけ制限されているかといった彼らの機能的健康についての質問が含まれていた。参加者はまた、「あなたは何歳だと思いますか?」という質問に答えることによって、彼らの主観的な年齢を回答した。
データ解析の結果、平均して、人生でより多くのストレスを報告した参加者は、3年間で機能的健康の急激な低下を経験し、ストレスと機能的健康の低下との関連は、年齢が高い参加者の方が強いことを発見したという。
けれども、主観的な年齢は保護緩衝的に作用するようであり、暦年齢より自分を若く感じる人においては、ストレスと機能的健康の低下との関連性が弱かったという。その保護効果は、最も年長の参加者の中で最も強かった。
「一般的に、機能的健康は加齢とともに低下するが、この推移は著しくバリエーションに富む。その結果、一部の個人がほとんど無傷のまま良好に高齢期に入るが、他の個人では著しい機能的健康の低下を経験し、それは長期的なケアの必要性をもたらす」と筆頭著者のマルクス・ヴェットシュタイン博士は語っている。「我々の調査結果は、高齢者の機能的健康の低下のリスク因子としてのストレスの役割と、主観的な年齢が若いことが健康をサポートし、ストレスを緩衝する可能性を示唆している。」
研究チームによれば、この結果は、人々が若く感じるのを助けることを目的とした介入が、ストレスによって引き起こされる害を減らし、高齢者の健康を改善する可能性があることを示唆するものだという。しかし、どの種類の介入が最も効果的かを決定するのを助けるためにさらなる研究が必要である。
たとえば、ヴェットシュタイン博士は、年齢差別や否定的な年齢の固定観念に対抗し、老化に関する肯定的な見方を促進するための広報キャンペーンは、人々が若く感じるのに役立つ可能性があると述べている。また、より一般的なストレス軽減介入とストレス管理トレーニングが、高齢者の機能的健康喪失を防ぐことができるだろうとのことである。
最後に、ヴェットシュタイン博士によると、主観的年齢と暦年齢の間の理想的なギャップを理解するには、より多くの研究が必要であるという。以前の研究では、ある年齢までは若く感じることが役立つが、主観的年齢と暦年齢の間のギャップが大きくなるにつれて、その利点は減少することが示唆されている。
「ある程度若く感じることは、機能的な健康の結果に適応するかもしれないが、『若すぎると感じる』ことは、適応性が低いか、不適応でさえあるかもしれない」とヴェットシュタイン博士はコメントしている。
出典は『心理学と加齢』。 (論文要旨)
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