2021.4.20
, EurekAlert より:
家事に従事することは、高齢者の脳の健康に有益である可能性がある、というカナダ・ベイクレスト高齢者ケアセンターからの横断的研究。家事に多くの時間を費やした高齢者は、より大きな脳容積を持っていたという。
研究者は、コミュニティに住む66人の認知的に健康な高齢者のグループにおける家事、脳の容積、および認知の間の関連を調べた。
参加者は、片付け、掃除、食事の準備と片付け、買い物、重い家事、庭仕事、家の修理、介護などの家事に費やした時間を尋ねられた。
解析の結果、家事に従事することに多くの時間を費やした高齢者は、彼らがどれだけの運動をしたかに関係なく、より大きな脳の容積を持っていることが明らかになった。記憶と学習に大きな役割を果たす海馬と、認知の多くの側面に関与する前頭葉で観察されたという。
より大きな脳を持つ個人が、より多くの家事をするという可能性はあるが、家事の身体活動が脳に有益であるという説明は可能であるという。
第一に、心臓の健康は脳の健康と密接に関連している可能性がある。家事は、低強度の有酸素運動と同様の影響を心臓や血管に及ぼす可能性がある。
第二に、家事に関わる計画と組織化は、歳をとっても新しい神経接続の形成を促進する可能性がある。
第三に、より多くの家事に従事した高齢者は、座りがちな生活に費やす時間が少なかった可能性がある。座りがちな生活は、脳の健康状態の悪化など、健康への悪影響に関連していることが示唆されている。
「家事は日常生活に必要であるため、運動よりも達成可能性が高そうであり、良い動機付けになる可能性がある」と研究者はコメントしている。
今回の調査は、身体活動量を聞き取りで評価していることから、今後ウェアラブル技術を用いて客観的に評価したい、と研究チームは述べている。また、家事と脳の経時的な変化について対照試験を実施したいとしている。
出典は『BMC老年医学』。 (論文要旨)
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