2021.4.13
, EurekAlert より:
思春期に甘い飲み物を飲み過ぎると、成長後の記憶障害につながるかもしれない、という米国南カリフォルニア大学などからのラットを用いた動物実験の報告。腸内細菌が関係しているという。
研究チームは、思春期のラットに、ヒトと同様に砂糖を添加した飲料を自由摂取させた。
1か月後ラットが成獣になったとき、研究チームは、2つの異なる方法で記憶機能を検査した。1つは脳の海馬に関連する記憶機能の検査で、もう1つは、鼻周囲皮質と呼ばれる領域によって制御される記憶機能の検査だった。
検査の結果、水だけを飲んだラットと比較して、高濃度の甘味飲料を飲んだラットは、海馬に関連する記憶機能に障害がみられることがわかったという。鼻周囲皮質に関連する記憶機能には影響がなかった。
その後、両方のラットの腸内細菌叢をチェックした結果、甘味飲料を飲んだラットでは、Parabacteroides distasonisとParabacteroides johnsoniiが特に増加していることがわかったという。
そこで、研究チームは、両細菌を、水だけを飲んだラットの腸に移植したところ、甘未飲料を飲んだラットと同様に、成獣になったのち、海馬関連の記憶障害を示したという。細菌を移植されたラットでは鼻周囲皮質に関連する記憶機能も障害がみられた。
さらに、甘味飲料を飲んだラットも、Parabacteroides を移植したラットも、海馬遺伝子の活動に変化がみられた。
研究チームによれば、本研究は、腸内細菌叢の全体でなく、特定の2種の細菌の移植により脳機能に変化をもたらした初めての研究の一つであるという。
(ラットの画像がなかったので、ゴールデンハムスターでお許しください)
出典は『トランスレーショナル精神医学』。 (論文要旨)
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