2021.4.12
, EurekAlert より:
プロバイオティクス(Bifidobacterium infantis)を与えられた母乳哺育児において、プロバイオティクスは児の腸内で最大1年間は持続するようだ、という米国カリフォルニア大学からの研究報告。
「以前の研究では、母乳で育てられた赤ちゃんにB.infantisを与えると、補給後30日まで続く有益な効果があることを同じグループで示したが、今回は1歳までの持続的なコロニー形成を示した最初の研究である」と主任研究者のジェニファー・スミロウィッツ博士は述べている。
B.infantisは、赤ちゃんがヒトの母乳に含まれるオリゴ糖を消化するのを助ける友好的な腸内微生物である。この細菌は、かつては母乳で育てられた乳児によく見られたが、先進国の乳児ではほとんど姿を消したという。劇的な減少は、抗生物質の使用の増加、粉ミルクの摂取、帝王切開などの要因によるものと考えられている。
「B.infantisは乳児の腸の門番のようなもので、オリゴ糖を食べ、潜在的な病原体にとっては望ましくない環境を作り出す」とスミロウィッツ博士は述べている。
スミロウィッツ博士は、B.infantisの不足は、アレルギー、喘息および自己免疫疾患などの炎症性疾患の台頭に関係していると述べている。研究によると、乳児の腸内にB.infantisが定着すると腸の炎症が減少することが示唆されている。
スミロウィッツ博士らによる以前の研究は、赤ちゃんに生後7日から28日までB.infantisを与えた結果、補充後30日までB.infantisの持続的コロニー化が起きることを示唆していた。今回の追跡調査では、生後4、6、8、10、12か月の乳児から糞便サンプルを採取した。
スミロウィッツ博士は、一般にプロバイオティクスが短命であり、母乳を与えられた生後12か月の乳児は通常、腸内細菌叢に影響を与える固形食品も食べているため、このプロバイオティクスがその間持続していたことに驚いたという。
出典は『小児科学研究』。 (論文要旨)
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