2021.3.31
, EurekAlert より:
一切の動物性食品を摂らないヴィーガン(完全菜食主義者)は、通常食を摂る人に比べて骨の健康状態が低い傾向があるようだ、という独・連邦リスク評価研究所の研究。
動物愛護や環境問題への配慮、健康上の利点などを目的としてヴィーガンになる人が欧米諸国と中心に増えつつある。そのため、ヴィーガン食による健康への影響について、近年の科学研究のテーマとなっている。この研究では、ヴィーガンと通常食を摂る人、それぞれ36人を対象としてかかとの骨の超音波検査を行い、骨の状態を比較した。すると、ヴィーガンの方が平均的に測定値が低かったという。これは通常食の人に比べて骨の健康状態が劣ることを示唆するものだという。
さらに、食事と骨の健康に関連する可能性のある栄養素を特定するため、血液と尿のバイオマーカーの測定も行った。年齢、喫煙状況、教育、肥満度指数、身体活動、飲酒による影響も考慮した結果、栄養状態と骨代謝に関わる28のパラメーターから、骨の健康に最も強く関連する12のバイオマーカーのパターンを同定した。この中には、アミノ酸のリジンやビタミンA、B6などが含まれていたが、ほとんどの場合、ヴィーガンはこれらのバイオマーカーの値が低かった。これが骨の健康状態に悪影響を及ぼしている要因なのかもしれないという。
「ヴィーガン食は健康に配慮したもの、と思われがちです。しかし、私たちの科学的調査結果は、ヴィーガン食が骨の健康に悪影響を与えることを示しています」と、研究所長のヘンゼル博士は述べている。
出典は『栄養素』。 (論文要旨)
|