2021.3.30
, EurekAlert より:
血圧を下げるために最も効果的な運動は、高血圧の人では有酸素運動、正常高値の人は動的筋力トレーニング、正常血圧の人は静的筋力トレーニングだという。血圧を下げるためには適度な運動が必要とされているが、今回初めて詳細なガイダンスが欧州心臓病学会より公表された。
心臓発作の原因の1/4は高血圧だ。2025年までに、世界の人口の約60%が高血圧になると推定されている。運動が血圧を下げることは広く認められているものの、これまでの推奨事項は1週間あたりの運動量に焦点を合わせたもので、スタート時点での各人の血圧レベルは考慮されていなかった。
この合意文書では初めて、最も質の高いエビデンスの分析を使用して、高血圧、正常高値、および正常血圧の人々の血圧を下げる方法に関する詳細なガイダンスを作成したという。
「3つのグループすべてに向けた推奨事項の目標は、まずは血圧を下げることです」と、筆頭著者であるスイス・バーゼル大学のハンセン教授は述べている。「最終的には、血圧を下げることで、心臓発作、脳卒中、心血管疾患による死亡のリスクを減らすことができます。これにより、より多くの年月を健康に過ごすことができます」。
この論文では、3つのグループそれぞれについて、血圧を下げるための運動法を効果の高い順に概説している。
【高血圧(血圧が140/90 mmHg以上)】
有酸素運動が最も効果的な方法。例としては、ウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳など。 ハンセン教授は「高血圧症の人では、有酸素運動による降圧の効果は、降圧薬を1回服用する場合と同じか、またはそれ以上です」としている。
【正常高値(130-139 / 85-89 mmHg)】
最も効果的なのは動的筋力トレーニング。例えば、ウェイトの持ち上げ、スクワット、腕立て伏せなどといった、筋肉を収縮させることで動きをもたらす筋力トレーニングを指す。
【正常血圧(130/84 mmHg未満)】
等尺性筋力トレーニングの恩恵を最も受ける。グリップ運動など、筋肉の静的収縮を伴う運動のこと。 ハンセン教授は、「血圧は正常であっても、高血圧を発症するリスクが高い人は特に、血圧を下げたいと思うかもしれません」と述べている。
「肥満が何年も続く場合、肥満の人は高血圧を発症する可能性が非常に高いです。健康な人でも、高血圧の親御さんがいるなら、妊娠中に高血圧を患った女性と同様に、高血圧を発症するリスクがあります。こういった方々は、運動することによって高血圧の発症を遅らせたり、予防することさえできるのです」。
ハンセン教授は、恩恵を維持するために身体活動を定期的に行うべきであるとし、次のように述べている。「ほとんどの運動では、血圧降下の効果は投薬と同様に約24時間持続するため、可能であれば毎日活動することが最善なのです」。
出典は『欧州予防的心臓病学雑誌』。 (論文要旨)
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