2021.3.25
, EurekAlert より:
1年間定期的に有酸素運動をすることで、軽度認知障害の患者の脳への血流が増加した、という米国テキサス大学からの研究報告。
研究チームは、軽度認知障害と診断された55-80歳の70人の男女を対象に検討を行った。参加者は、認知検査、フィットネステスト、および脳磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを受けた。次に、中強度の有酸素運動プログラムまたはストレッチプログラムのいずれかを1年間実行するようにランダムに割り当てられた。運動プログラムには、週に3-5回の運動セッションが含まれ、それぞれが活発な散歩などの適度な運動を30〜40分行った。
48人の参加者(ストレッチ群29人、有酸素運動群19人)が1年間のトレーニングを完了した。有酸素運動群の人は、首の血管の硬さが減少し、脳への全体的な血流が増加したことが示唆された。酸素消費量(有酸素フィットネスの指標)が増加するほど、血管の硬さの減少と脳の血流の増加が大きくなった。こうした変化は、ストレッチ群の人々の間ではみられなかった。
本研究では、記憶やその他の認知機能に有意な変化は見られなかった。研究者らは、試験の規模が小さいか、期間が短いことが原因である可能性があると述べている。
「MCIと認知症は多くの要因の複雑な相互作用によって影響を受ける可能性があり、少なくとも一部の人々にとって、運動はそれらの要因の1つであると我々は考えている」と研究者はコメントしている。
出典は『アルツハイマー病学雑誌』。 (論文要旨)
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