2021.3.25
, EurekAlert より:
肥満に関連した2型糖尿病の患者においては、肝臓のアラニン代謝が妨げられ、高血糖と骨格筋萎縮につながるようだ、という豪州モナシュ大学からの研究報告。
研究チームは、ヒトとマウスモデルを用いて、肥満関連の2型糖尿病患者のアミノ酸アラニンの肝臓代謝が変化していることを明らかにした。肝細胞のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)を選択的にサイレンシングすることにより、筋肉のサイズと強度の重要な決定因子である骨格筋たんぱく質合成が回復し、高血糖と筋肉損失を元にもどすことができるという。
研究によれば、この肝臓代謝の変化は筋肉のサイズと強度に直接影響し、その背後にあるメカニズムは、肝臓と骨格筋の間のアミノ酸の循環を促進するホルモンであるコルチゾールとグルカゴンのレベルの上昇によって引き起こされ、筋肉が小さく弱くなるのだという。
代謝機能障害および関連する合併症に加えて、肥満のしばしば見過ごされがちな併存疾患は、フレイルを引き起こし、生活の質の低下および死亡に関連する骨格筋萎縮であるという。
「我々の研究は、肝臓が筋肉たんぱく質代謝の重要な制御点であることを示している。これは非常に驚くべき発見である。我々の新しい発見は、2型糖尿病における骨格筋萎縮の役割を臨床的により綿密に調べる必要性を浮き彫りにしていると信じている」と主任研究者のアダム・ローズ博士はコメントしている。
出典は『ネイチャー代謝』。 (論文要旨)
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