2021.3.18
, EurekAlert より:
健康でフィットネスレベルが高い女性は、運動時に男性よりも多く脂肪を燃焼する傾向があるようだ、という英国バース大学からの研究報告。
身体がどのように脂肪を燃焼するかは、代謝健康、インスリン感受性、および2型糖尿病を発症するリスクを減らすうえで重要であり、またランニングやサイクリングなどの持久競技では、身体が脂肪を燃焼する方法が成功と失敗の違いを生む可能性がある。
研究チームは以前の研究で、持久競技アスリートの場合、運動すると身体の炭水化物貯蔵量が急速に枯渇することを示した。これは、アスリートが脂肪の蓄えを利用して燃料を補給する能力が、パフォーマンスに不可欠になることを意味するものだという。
今回発表された2件の研究のうち『国際スポーツ栄養学と運動代謝雑誌』に発表された論文1は、73名の健康な成人(19-63歳、男性41名、女性32名)を対象に、サイクリングフィットネス試験への参加を依頼し、主要な指標を測定することにより、最適な脂肪燃焼のための生活習慣と生物学的要因を検討した。
そして、女性で身体的フィットネスレベル(最大酸素摂取量)の高い者は、年齢に関係なく、運動時により効率的に脂肪を燃焼することが明らかになったという。
『実験生理学』誌に発表された論文2では、この段階をさらに進めて、分子レベルにおいて筋肉と脂肪組織のどの因子が脂肪の燃焼方法を決定するかを調査したという。この実験では、研究者らが参加者から脂肪と筋肉の生検を行い、脂肪と筋肉組織のたんぱく質の違いが脂肪を燃焼する能力にどのように影響するかを分析した。
分析の結果、貯蔵された脂肪をより小さな脂肪酸に分解することに関与する筋肉のたんぱく質、およびそれらの脂肪酸を筋肉のミトコンドリア(細胞の原動力)に輸送することに関与するたんぱく質が、脂肪を燃焼するより大きな能力と一貫して相関することが明らかになったという。けれども、これらの分子的要因は、女性が男性よりも多くの脂肪を燃焼した理由を説明しなかった。
「我々の研究で、一般的に女性は男性よりも運動時の燃料源として脂肪への依存度が高いことが明らかになった。この性差の背後にあるメカニズムを理解することは、女性がなぜ、代謝的健康の重要な指標であるインスリン感受性における代謝的アドバンテージを示すのかを説明する助けになるだろう」と両論文の筆頭著者であるオリー・クルザノウスキー=スミスは述べている。
論文1: https://journals.humankinetics.com/view/journals/ijsnem/aop/article-10.1123-ijsnem.2020-0262/article-10.1123-ijsnem.2020-0262.xml
論文2: https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/EP089431
出典は『国際スポーツ栄養学と運動代謝雑誌』。 (論文要旨)
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