2021.3.12
, EurekAlert より:
マスクの着用は、健康な人が激しい運動をする能力に穏やかに影響を及ぼすだけかもしれない、という伊ミラノ大学などからの研究報告。安全だがパフォーマンスは低下するようだ。
共同研究者のエリザベッタ・サルビオーニ博士は語っている。「コロナウイルスの主な感染経路は呼吸器飛沫によるものであり、運動中の呼吸が激しくなると、特に屋内での感染が促進される可能性がある。マスクを着用すると病気の蔓延を防ぐことができることが示唆されている。けれども、激しい運動中にマスクを安全に着用できるかどうかについての明確な証拠はない。」
その疑問に答えるべく、研究チームは、女性6人、男性6人の健康なボランティア(平均年齢40歳)を対象に、3ラウンドの運動試験を実施した。1)マスクをつけない、2)サージカルマスクをつける、3)FFP2マスク(サージカルマスクよりもわずかに保護機能に優れると信じられている)をつける。
ボランティアがエアロバイクを使用している間、研究チームは呼吸、心拍数、血圧、そして血中酸素レベルを測定した。
試験の結果、フェイスマスクの着用はボランティアにわずかな影響を及ぼすことが示された。たとえば、有酸素運動を実行する能力が平均で約10%低下したという。
結果はまた、この減少が、ボランティアがマスクを通して息を吸ったり吐いたりするのがわずかに困難であったことが原因である可能性があることも示しているという。
酸素飽和度に有意差はみられなかった。
「安静時およびピーク時の運動時の肺活量測定および心肺パラメーターの有意ではあるが穏やかな悪化に関連している。この効果は、気流抵抗の増加による換気の減少によって促進される。ただし、運動の換気制限に達するにはほど遠いため、最大の運動中でも安全に使用でき、パフォーマンスはわずかに低下する。」と研究チームは結論付けている。
「この減少は穏やかなものであり、重要なことは、健康な人が最高の能力で動いている場合でも、フェイスマスクで運動するリスクを示唆するものではないということだ」と筆頭研究者のマッシモ・マペリ博士は述べている。
「ただし、この結果が、心肺に問題を抱えている人々にも当てはまると考えるべきではない。我々はこの点をさらに検討する必要があるだろう。」
出典は『欧州呼吸器雑誌』。 (論文要旨)
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