2021.3.8
, EurekAlert より: 
閉経による筋量の減少は、エストロゲン欠乏が、骨格筋のマイクロRNA信号伝達を変化させることに関係しているかもしれない、というフィンランド・ユヴァスキュラ大学からの研究報告。
閉経は、骨格筋量の減少を含むいくつかの生理学的変化に関連しているが、筋肉の減少の根底にあるメカニズムは明らかではなかった。
研究チームは、エストロゲン欠乏が、骨格筋のマイクロRNA信号経路を変化させ筋量減少につながる信号カスケードの活性化につながることを発見したという。
閉経はエストロゲン欠乏を導き、それは骨格筋の筋量と筋力の減少につながる。これは筋肉機能と筋肉細胞のサイズの両方の変化に起因するものである。
「筋量減少におけるエストロゲンの役割ははっきりしていない。我々の研究では、骨格筋の細胞死に関連する信号経路に焦点をあてた」と筆頭研究者のシーラ・カルヴィネン博士は語っている。
細胞死につながる可能性のある信号経路の一つにはマイクロRNA分子が含まれている。マイクロRNA分子は標的となるたんぱく質の合成を阻害することによって遺伝子発現を制御する。いままでいくつものマイクロRNAが細胞死の経路のカギとなるステップにおいて見つかっており、筋肉細胞の数を制御していると考えられている。
研究チームは、既に、閉経期の女性の血液と筋肉の両方でエストロゲンに応答するマイクロRNAを明らかにしていた。
そこで今回、全身エストロゲンレベルが低い動物モデルと高い動物モデルを利用して、その観察結果をより詳細に検討したという。
その結果、エストロゲン欠乏が、骨格筋の細胞死につながる経路に関連したいくつかのマイクロRNAを下方制御することを発見したという。これが細胞死たんぱく質の上方制御と関連していた。
「かように、エストロゲンに反応するマイクロRNAは閉経における筋肉の分解に関与しているようだ」とカルヴィネン博士は言う。「ひとつの予防策として推奨されるのは、女性がレジスタンストレーニングを中年から初めて筋量と筋力を維持することだろう。」
出典は『実験老年学』。 (論文要旨)
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