2021.3.2
, EurekAlert より:
定期的なコーヒーの摂取は、脳の灰白質に変化を及ぼす可能性があるが、それは一時的なもののようだ、という瑞バーゼル大学からの研究報告。
研究チームは20名の健康な若者を対象に検討を行った。全員がほぼ毎日定期的にコーヒーを飲んでいた。
対象者は、2回の10日間介入試験を受け、その間カフェインを含むものを摂取しないように言われた。各々の介入期間中、1回はカフェインの錠剤を、別の1回はプラセボの錠剤を毎日1回摂取するように言われた。
10日間の介入が終わった時点で、脳画像診断によって対象者の灰白質の体積が測定された。また睡眠実験室で脳波計で記録しながら睡眠の質も検証された。
その結果、カフェインは睡眠には影響しないが、灰白質には影響することが明らかになったという。
カフェインもプラセボも対象者の睡眠の深さに影響を及ぼさなかった。けれども、灰白質には有意差がみられた。プラセボで10日過ごした(カフェイン禁欲)後の灰白質の体積は、カフェインで10日過ごした後よりも多かったという。その違いは、記憶の統合に不可欠な脳の領域である海馬を含む、右内側側頭葉で特に顕著だった。
「我々の結果は、カフェインの摂取が脳に悪影響を与えることを必ずしも意味しない」と筆頭研究者のキャロリン・ライヒェルト博士は言う。「けれども、毎日のカフェイン摂取は明らかに我々の認知機能のハードウェアに影響を及ぼすので、それ自体が今後の研究課題になるものだ。」
カフェインは灰白質の体積を減らすように見えるが、コーヒーを10日間禁欲した後で、体積は元にもどったという。「脳の形態の変化は一時的なもののようだが、コーヒーを定期的に飲む人とのまったく飲まない人との体系的な比較はこれまでのところ存在しない」とライヒェルト博士はコメントしている。
出典は『大脳皮質
』。 (論文要旨)
|