2021.2.24
, EurekAlert より:
健康的または不健康な加齢の軌跡に関連する腸内細菌叢の明確な特徴を発見した、という米国システム生物学研究所からの研究報告。これを利用して高齢者集団の寿命の予測も可能になるという。
研究チームは、3つの独立したコホートから、18-101歳の9,000名以上の、腸内細菌叢、表現型、臨床データを解析した。特に900人を超える地域在住の高齢者(78-98歳)のコホートからの縦断的データに焦点を当てたことで、健康と生存のアウトカムが追跡できるようなった。
解析の結果、腸内細菌叢は、中年期以降加齢に伴って、どんどん個人ごとに独自の様相を呈するようになることが明らかになった。これは中心となる細菌属(例えばバクテロイデス)の漸次の低下に対応するものである。
健康な加齢によって、個人ごとの腸内細菌叢が独自性を増すにしたがって、ユニークな代謝産物が増加する。たとえば、トリプトファン由来のインドール化合物は、マウスで寿命延長効果が報告されている。また別の代謝物フェニルアセチルグルタミンは、この独自性の増加に最も強く相関しており、100歳以上の人の血中で非常に高いことが先行研究で報告されている。
「こうした腸内細菌のパターンは、健康な加齢にのみ見られるもので、高齢者の生存期間の予測に使える」と研究者はコメントしている。
不健康な個人においては、中心となる細菌属が維持されるということである。
出典は『ネイチャー代謝』。 (論文要旨)
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