2021.2.17
, EurekAlert より:
修正可能な心血管系リスク因子への極めて早期の介入が、認知症の発症予防につながるかもしれない、というスペイン・カルロスIII国立心臓血管研究センターからの研究報告。
神経変性疾患と血管疾患の進行段階はしばしば一緒に発生し、近年の研究により、認知機能低下と、高血圧、肥満、高コレステロールなどの多くの心血管系リスク因子との間に密接な関係が確立されている。
研究チームは、無症状の中年者における脳代謝、亜臨床性(潜在性)アテローム性動脈硬化、および心血管系リスク因子を検討した。
『早期亜臨床性アテローム性動脈硬化の進行』研究の参加者から亜臨床性アテローム性動脈硬化のエビデンスをもつ中年者547名(平均年齢50歳、82%が男性)を対象に、18 F-フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)などが実施された。
解析の結果、無症状の中年者において、心血管系リスク因子は、脳の代謝低下に関連がみられ、高血圧は最も強い関連を示す修正可能な心血管系リスク因子であることが明らかになった。
研究チームはまた、脳に血液を運ぶ頸動脈のプラークの数が多いほど、大脳辺縁系と頭頂葉の領域での脳代謝の低下に関連していることを発見した。
これらのデータは、将来の認知機能障害に対する脳の中年期の脆弱性を潜在的に減らすために、人生の早い段階で心血管系リスク因子を制御する必要性を強調するものであると研究チームは結論付けている。
出典は『米国心臓学会誌』。 (論文要旨)
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