2021.2.16
, EurekAlert より:
緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)が、腫瘍抑制因子であるp53のレベルを上昇させる可能性がある、という米国レンセラー工科大学からの研究報告。
p53には様々な抗がん作用があるが、通常細胞内でN末端ドメインがMDM2と呼ばれるたんぱく質と相互作用を起こして急速に分解され、細胞内でのレベルは低く保たれる。
今回研究チームは、EGCGが、p53のN末端ドメインの同じ場所に結合して、p53が分解されるのを防ぐ効果があることを、表面プラズモン共鳴と核磁気共鳴による解析によって発見したという。
「EGCGとMDM2は、どちらもp53のN末端ドメインに競合的に作用する。EGCGがp53と結合すると、p53はMDM2と結合できず分解されなくなる。つまりEGCGとの直接的な相互作用によってp53レベルが高まり、抗がん作用が上昇するのである。これは極めて重要な相互作用である」と主任研究者の王春雨教授は説明している。
「がんやアルツハイマー病などの壊滅的な病気に関連する重要な生化学的相互作用を制御する分子レベルのメカニズムの理解を深めることにより、王教授の研究は新しくかつうまくいきそうな治療法の基礎を提供している」とレンセラー工科大学理科学部の学部長であるカート・ブレネマンはコメントしている。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
|