2021.1.22
, EurekAlert より:
母乳哺育は特殊なタイプの免疫細胞を増加させることによって乳児の免疫応答を制御し炎症を減らすのを助けるようだ、という英国バーミンガム大学などによる研究報告。
先行研究において、人工乳のみで育った子供に比べて母乳哺育児は、後年ぜん息や肥満、自己免疫疾患のリスクが低いことが報告されている。
けれども、その免疫学的なメカニズムについてはほとんどわかっていない。今回研究チームは、生後3週間を超えて完全母乳だったヒトの乳児において、人工乳児に比べて、特殊なタイプの免疫細胞(制御性T細胞)がほぼ2倍豊富に存在することを発見したという。この細胞は、母親の細胞が母乳と共に転移してくるのに対して乳児の免疫応答を制御し、炎症を減らすのを助ける。
また、授乳中の乳児には、制御性T細胞の機能をサポートするベイロネラおよびゲメラと呼ばれる特定の細菌が腸内でより豊富であることが示されたという。
本研究は、健康な母親38人から生まれた38人の子供のデータを3年にわたって収集、分析した研究プロジェクトの集大成であるという。38名の乳児中16名が完全母乳哺育出、9人は混合栄養、13人は人工乳のみで哺育された。
今後研究者らは、炎症性合併症を発症した病気の早産児におけるこの生物学的メカニズムをさらに研究する予定であるという。
出典は『アレルギー
』。 (論文要旨)
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